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 「透明性と自己責任」。グーグルの人材戦略を理解するキーワードだ。同僚が自分のことを評価し、結果はすべて公開。仕事の一切を自分で決める。優秀な社員ができる人材を引きつける。日本にいながら成果を世界に問える。「働きがいのある職場」は厳しさと表裏一体だ。

 「自由闊達なエンジニア天国」「勤務時間の20%は自由裁量で何をしても良い」。グーグルの人材戦略は、同社のユニークな社風の象徴として、よく引き合いに出される。

写真1●人材/人事担当ディレクターのジュディ・ギルバート氏
写真1●人材/人事担当ディレクターのジュディ・ギルバート氏

 ではエンジニアの成果をどう測るのか。グーグルは検索連動広告からの広告収入で、大半の利益を得る。検索やGmailなどの「製品」自体は無料または格安で、それ自体からの儲けはほとんどない。広告売り上げの数字や企業向け製品の売上高で厳格に評価できる営業部門ならばいざ知らず、エンジニアの成果を、どうやって評価しているのだろうか。

 「エンジニアの評価で最も重視しているのは、同僚によるフィードバックだ」。グーグルで人材開発を担当するジュディ・ギルバート ディレクターは、エンジニア評価のポイントをこう語る(写真1)。「最も身近で働く同僚による評価が、最も正確だ」。

 同社の人事評価は半期に一度。エンジニアの成果を評価する仕組みは、期初に設定した目標に対する自己診断、「ピアレビュー」と呼ぶ同僚による評価、上司による評価の三段階から成る(図1)。このうち、ギルバート氏が話すとおり最も重要なのがピアレビューだ。

図1●グーグルの人材評価の仕組み
自己評価、「ピアレビュー」と呼ぶ同僚による評価、上司による評価の三段階からなる。最も重視するのはピアレビューで、結果は本人にも知らされる
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「ページランク方式」で評価

 評価されるエンジニア本人と同じ部署や開発チームで働く同僚が、対象のエンジニアに対する評価結果を記述。イントラネットに登録する。記述する内容は、自分とそのエンジニアの関係、エンジニアの働きぶりや目標に対する成果、強みと伸ばすべき点などだ。上司は本人による自己診断とピアレビューの結果を総合して、最終的な評価を下す。いわゆる360度評価を実践しているわけだ。

 ピアレビューの結果は、評価されるエンジニア本人も読むことができる。誰が評価したかも含めて、すべて透明にしている。最近では日本企業でも360度評価を実践している企業が増えている。しかしここまで徹底して評価結果や仕事の成果を透明にしているケースは珍しいだろう。

 興味深いのは、エンジニアの評価にも同社の検索アルゴリズムである「ページランク」の考え方を取り入れている点だ。評価の高い優秀な同僚からレビューされるほど、そのエンジニアの評価も高くなる。ページランクでは、グーグルが「良質である」と評価しているWebサイトからリンクされているほど、リンク先Webサイトの評価も高くなるのと同様だ。