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 クラウド上でのビジネスアプリケーション開発が実際にはどのように変わっていくのか。第1回は、米セールスフォース・ドットコムが提供する「Force.com」とは何かについて、その機能を紹介した。第2回第4回では、Force.comの開発者環境を使って人事管理アプリケーションを開発、機能強化し、既にある情報をインポートした。今回は、関数機能と複数オブジェクトのリレーションについて紹介する。

 なお第1回で紹介したように、本連載ではみなさんにForce.comを気軽に体験してほしいということから、特別に今回使用する組織(サインアップごとに作られるユーザー専用環境)を用意している。ここから是非アクセスし、ここで紹介している設定を体験してほしい。

Force.comは基幹系に利用可能か?

 ところで、次のような疑問が、しばしば問いかけられる。Force.comは既にある基幹系システムを置き換えらえるのか? Force.comに適するアプリケーションはどんな分野か?――。今回は、関数機能の紹介に入る前に、これらの質問に答えてみよう。

 これまでの連載で紹介してきたように、Force.comは従来とは全く異なる特性を持つアプリケーションプラットフォームである。大きな初期投資が不要、運用コストが下がる、高いスケーラビリティ、といったクラウドコンピューティングの特性に加え、Force.comではビジネスアプリケーションを高品質かつ高い生産性で開発できる。

 また利用料金も、Windows同様にプラットフォームを利用するユーザー数による課金のため、Force.com上に作成したアプリケーションごとに課金されることもない。ただし、ユーザーライセンスのタイプにより、利用もしくは作成できるアプリケーション数やカスタムオブジェクト数には上限がある(詳細説明)。

 ネット販売では、ロングテール理論が有名だ。この理論は、Force.comというプラットフォームにも当てはまる。ロングテール理論とは、インターネットというプラットフォームにおいては、売り場面積などの物理的制約がなくなるため、実店舗では取り扱うことが難しかった数多くのニッチ商品による売り上げが、少数の売れ筋商品の売り上げを上回り、より大きな利益を得られるという経済理論である。

企業システムにロングテール理論の適用が可能に

 インターネットという新しいプラットフォームによって、実店舗では全体の20%の商品が売り上げ全体の8割を占めるという理論が覆る。ABC分析など従来の考え方を改める必要があることを示しているわけだ。

 さて、企業内には基幹系システム以外にも、数多くの情報系システムやシステム化にまで至っていない業務プロセスが存在する。これまでの方式であれば、とてもシステム化におけるROI(投資対効果)が得られない、システム化はしたもののプライオリティが低く更新できず老朽化している、Excelなどのデスクトップツールでとりあえず間に合わせている、あるいは手作業で処理している、といった状況は珍しくないはずだ。いわば業務プロセスのロングテール部分である。

 そこにForce.comを適用すれば、ネット販売同様に、企業のIT投資ポートフォリオにロングテール理論を持ち込める(図1)。上記のような理由から、システム化が難しかったプロセスを、Force.comにどんどん載せていく。それにより、Force.comのメリットを早期に享受できるだろう。

図1●ロングテール理論により、企業のIT投資ポートフォリオが変わる
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