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ジェイムズ・フォスター
在日米国商工会議所(ACCJ)
インターネット・エコノミー・タスクフォース副委員長

 現在の日本に欠けているのは,“インターネット・エコノミー”への適応である。世界経済はネットでつながっている。ネット・エコノミー時代の「消費者第一主義」,「グローバルな視点」,「商品の良し悪しを判断するのは市場」という原則をよく理解すべきだ。

 今の時代に「まず日本でいいものを作って,うまくいけば世界に持っていく」という発想では,世界に受け入れられない。典型例は携帯電話だ。日本はビジネス・チャンスを逃してしまった。

通信・放送融合議論は包括的な議論を

ジェイムズ・フォスター氏
在日米国商工会議所(ACCJ)
インターネット・エコノミー・タスクフォース副委員長
ジェイムズ・フォスター氏

 ネット・エコノミーへの適応を考えたとき,日本政府の取り組みに提案が二つある。

 一つは,現在進行中の通信と放送の融合問題をもっと包括的に議論してほしい。例えば,NTT法や電波政策の見直しは,通信と放送の融合に密接に関連している。

 通信と放送の融合の在り方は,ICT産業だけでなくICTを利活用する産業がネット・エコノミーにうまく移行できるかを左右する,重要な問題である。ネット・エコノミー時代のICTは,インフラ,ネットワーク・サービス,プラットフォーム,コンテンツの4階層で構成される。まずインフラ層の整理から始めて,続いてネットワーク・サービス,プラットフォーム,コンテンツ層と段階的に進めていくべきだが,現在の議論では,うまく整理されていないように見受けられる。

 政府の役割は膨大な投資が必要なインフラの効率化に集中し,プラットフォームとコンテンツは市場に任せるのがいい。コンテンツは原則として規制すべきではなく,業界の自主規制に委ねる。技術革新が早いプラットフォーム層は,事前に調整するよりも競争法を適用すべきだ。

 同時に,インフラや著作権など省庁ごとに権限が分散する従来の政府の仕組みも見直した方が良いだろう。継続的で透明性ある議論,国際ルールとの調和も求めたい。

新入生全員にノートブックPCを配布

 もう一つの提案は,ICTの利活用の促進である。日本は17位に低迷している(表1)。この位置は全くふさわしくない。もっと消費者が恩恵を感じられるような方策を考えたい。

表1●世界経済フォーラム(WEF)による世界ICTランキング
NRI(Networked Readiness Index)という指標を採用している。評価ポイントは,ビジネス全般や規制,インフラなどの「環境」,個人や企業,政府によるICTの「利用姿勢」,最新のICTの実際の「利用状況」の3点。
表1●世界経済フォーラム(WEF)による世界ICTランキング

 例えば,学校には無線LANがほとんど無く,家に帰ればパソコンが無い家庭もまだ多い。一案だが,小学校の新入生にランドセルを買うのと同じように,ノートブック・パソコンを全員に持たせたらどうなるだろう。世界中から情報を得る機会を増やしたら,学校教育の在り方や情報リテラシはずいぶん変わるはずだ。

 日本と米国は,共に技術力が高く,知的財産権(IPR)への理解があり,競争政策が似ているなど立場が近い。日米が手を組めば,世界経済のリーダーシップを取るチャンスである。

 東京圏には,日本企業の本社だけでなく,多国籍企業の拠点が集中する,世界でも特異な場所である。ネット・エコノミー時代をリードするメッセージは,日本から発信できるはずだ。

ジェイムズ・フォスター
在日米国商工会議所(ACCJ)
インターネット・エコノミー・タスクフォース副委員長