PR

 ソリューションビジネスを成功させるうえで顧客満足(CS)の向上が重要なのはいうまでもない。CS向上には技術力やソリューションの中身だけでなく、企業全体としての営業の在り方が影響する。営業やSEといった役割を超えて連携して営業に当たること、正確な顧客情報を常に収集することを心掛けるのがCS向上に有効だ。



 どのような企業にとっても、存続の基盤として顧客満足(CS)は重要である。事業特性に応じてCS向上のポイントは異なるため、自社の事業に応じた取り組みの重点を見定めることが必要だ。

 だが関連書籍を書店で探しても、一般消費者向けのBtoC事業の視点からCSについて語っているものがほとんどで、企業を相手にするBtoB事業、ましてやソリューションビジネスの視点から語っているものはほとんどない。

 本連載では、ソリューションビジネスのCS向上に焦点を当てて、実践的な内容を紹介していく。

CS向上は「営業」が決め手

 では実際に、ソリューションビジネスで顧客満足度を高めるために、重点的に取り組むべき要素は何だろうか。

 当社が企画・実施支援したソリューションビジネスでの顧客満足度調査の分析結果からは、「営業プロセスの質の良しあしが満足度の差を生み出している」という傾向が明らかになっている。ソリューションの中身・出来映えやコスト、トラブル対応などは当然として、営業が大きな割合を占めるのだ。

 図1は当社がかかわったCS調査から導き出したモデル図である。「総合満足の高低への影響度合い」と「各要素の評価の高低」で、主要なCS調査項目をプロットしている。図1を見ると、右下の「最優先ゾーン」に営業関連の要素が集中しているのが分かるだろう。

図1●ソリューションビジネスで総合満足を高めるために重視すべき要素
図1●ソリューションビジネスで総合満足を高めるために重視すべき要素
[画像のクリックで拡大表示]

 これは「営業関連の様々な要素は、総合満足への影響度合いが高いが、評価は低めである」ということを示している。言い換えれば、総合満足を高めるためには真っ先に営業に手を付けるべきということになる。

 ここで重要なのは、営業プロセス、あるいは広い意味での営業全体である。営業担当者個人の活動だけの問題ではないことに留意してほしい。

 図1はあくまでもモデルだが、我々がCS向上を支援してきた多くのソリューションプロバイダで同様の傾向がみられる。

営業に注目すべき二つの理由

 営業がCS向上の決め手になる傾向の原因としては、意思決定構造の複雑さと提供する価値の可視化・共有の難しさの2点が考えられる(図2)。

図2●「営業」がCS向上の決め手となる二つの理由
図2●「営業」がCS向上の決め手となる二つの理由

 BtoB事業は一般に、「どこから何をいつ買うか」を決める際の関与者が複数おり、各関与者のニーズを的確にくみ取って対応していくことが求められる。特にソリューションビジネスでは、意思決定にかかわる顧客側の登場人物が多岐にわたる。

 情報システム部門はもちろん、多くの利用部門が関連する。同じ部門でも階層によってに利害が異なる。トップ層が関与することもある。意思決定プロセスを知らずに、ニーズに応えた提案でも顧客に貢献することはできない。

 これらの関係者の利害を整理し、キーパーソンのニーズを満たさなければ受注にはつながらない。意思決定のために、どのような会議がいつ顧客内部で開催されるかといった点も押さえる必要がある。

 意思決定構造の複雑さは、解決すべき問題の特定や解決策の選択・実行を妨げる。顧客自身にとっても頭の痛い問題である。

 多くの利害関係者の多様なニーズを理解し、最適な時期に解決策を提案してもらうことを、顧客は営業に期待している。だからこそ、営業プロセスの質の良しあしが顧客の総合満足を高める重要な要素になるのだ。

 提供する価値の可視化・共有が難しいのは、ソリューションが「目に見えにくく、共有しにくい」という特性を持っていることが原因である。優れた技術や商品、開発力を有していても、顧客の抱える問題をどう解決していくのか、どんな成果をもたらすのか、どの程度確実に機能するのかを、なかなか資料などの見える形でまとめづらい。

 形のないものに対する要望を話しているので、顧客が望むソリューションを聞いても、内容を正確に理解するのが難しい面もある。結果として、合意したつもりでプロジェクトをスタートさせても、開発・構築の過程や運用開始段階で、顧客の要望とのギャップが浮上してくることも多い。

 だから、提供する価値を早期に可視化し、顧客と共有化することが、営業に期待されるのだ。