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 期待に応えられない状況が続き不満が高まると、顧客からのクレームにつながりやすい。クレームが発生すれば当然、満足度は低下する。クレームを的確に対処するのは当然だが、問題が顕在化する前に不満の芽をつむのが理想的である。クレームの対処や予防には、営業担当者個人だけでなく、組織として当たることを心掛ける。



 2000年前後に「クレーマー」という言葉が生まれた。残念なことに、顧客からのクレームはその後も強硬になる一方だ。

 一般消費者向けのBtoC事業だけでなく、BtoB事業でも、顧客の要求の高度化・多様化に伴って、クレームへの対処の重要性は増してきた。クレームが頻発するような状況では顧客の満足度は低下するから、この問題の解決は重要である。

 今回は、顧客の不満足の表れであるクレームへの対応法について解説する。

組織を代表する立場からのクレーム

 近年、ソリューションプロバイダから当社に対して、クレーム関連のコンサルティングや研修の依頼が増加している。ソリューションビジネスの世界でも、クレーム対応が避けて通れない課題になってきたということがよく分かる。

 ソリューションビジネスは、ソリューション、つまり問題の解決策を商品やサービスとして提供するビジネスだ。顧客の課題やニーズに応えるものでなければ意味はない。

 ハードのように形のある製品を提供することもあるが、無形のソフトやサービスが解決策に含まれることも多い。形が無いという特徴が問題になる。

 無形であるがゆえに顧客の期待と自社の認識にズレが生じやすいのだ。これがクレームの原因になりやすい。クレームの発生後も、顧客との相互理解が難しくなる。

 ソリューションプロバイダと顧客の複数の人間が関与することも、クレーム発生の確率を高める。顧客では、情報システム部門、利用部門、場合によっては経営トップを含めたさまざまな立場の人間が、自らの利害から考えた解決策を求めている。全員が満足する解決策を提供するのは簡単ではない。

 一方のソリューションプロバイダでは、営業に加えSEや保守などの担当者が顧客の課題を解決するための作業を手掛ける。それぞれの担当業務に応じ各人は顧客への業務にかかわるが、全員が一体になって、クレームに応えなければならない。

 自社も顧客も複数の人間がかかわる問題を解決しなければならないのだから、クレームへの対応が複雑になる。個人ではなく組織を代表してクレームが発生していることも理解する必要がある。

 ソリューションプロバイダに対してクレームを申し出てきた相手は、組織の一員としての役割を担い、他部門への責任を果たさなければならない。個人なら、「言うだけ言ったから許してやるか」あるいは「今回は妥協しようか」といった判断もあり得るが、組織を代表したクレームはどうしても強硬になる。

 ソリューションプロバイダは、これらの前提を踏まえて、クレームに対応しなければならない。

クレーム対応には6種類のスキルが必要

図1●クレーム対応に求められるスキル
図1●クレーム対応に求められるスキル

 一般消費者からのクレームに対応する場合は、お客様に好感を与える「話術」や信頼されるための豊富な「業務知識」が重要だ。これらはソリューションプロバイダがクレームに対処する場合にも不可欠だが、ほかにもいくつかのスキルが求められる。

 図1を見てほしい。どんなビジネスでも、クレームに対応する担当者には6種類のスキルが求められる。

 消費者からのクレームに対応する際に重要な話術と業務知識に加え、お怒りになっているお客様に冷静に対処する「気構え・度胸」も必要だ。ソリューションプロバイダにとっては、言われなくても顧客の期待を感じ取る「期待察知力」と「論理的思考力」、「使命感」の三つのスキルが重要になる。

 なぜ論理的思考力が重要なのか。無形の解決策に対する、ソリューションプロバイダへのクレームは、複雑になりやすいという特徴がある。関係者も多い。クレームの原因と解決策を探し出すには、論理的に考える能力は不可欠だ。

 クレームに対応する際には、自社で認識している事実関係を踏まえ、理路整然と説明しなければならない。説明がしどろもどろだったり、矛盾をきたしたりするようでは顧客を納得させるのは無理だ。

 クレーム対応で必要な論理的思考力には、瞬発力が要求される。じっくり考えている時間はない。現場で顧客と対話しながら迅速・的確に答えを見つけ出さなければならない。

 実際のクレーム事例を素材にしたロールプレイング型の実践的研修など、疑似体験を重視したスキルアップ策を定期的に実施するのが、論理的思考力を養ううえで有効だろう。

 ソリューションビジネスへのクレームは、顧客の主張が常に正しく、顧客自身のためになるとは言い切れない。ソリューションプロバイダとして真剣に顧客の問題と向き合い、顧客のために主張することも求められる。このとき、自分の行動や主張の根拠になるのが使命感なのだ。

 消費者からのクレームであれば、内容が多少は理不尽だったとしても、ひたすら低姿勢で謝罪を繰り返して、怒りが収まるのを待つ選択肢もあるだろう。しかしBtoB事業でクレームに対応する場合は、顧客の誤解は解かねばならないし、一方的な要求を突きつけているのなら、今後の関係を考慮したうえで、断らなければならないことがあり得る。

 こういったときに、「早く丸く収めてしまいたい」という欲求に負けないために、顧客のために役立ちたいという揺るぎない使命感が必要になる。日頃から顧客満足を考え抜いて行動することでしか、この使命感は生まれてこない。使命感を形成する日々のマネジメントや評価基準・判断基準の浸透を、組織として進めるべきである。