PR

 前回は、苦情に代表される顧客の声を活用し、顧客の満足度向上につなぐための規格であるISO10002(品質マネジメントシステム―顧客満足―組織における苦情対応のための指針)の概要を紹介した。今回はISO10002を活用した、苦情対応マネジメントシステムの構築のポイントと継続的改善の手法について紹介する。



 ISO10002を利用して苦情対応マネジメントシステムを構築する場合には、公開性、アクセスの容易性、応答性、客観性、料金、機密保持、顧客重視のアプローチ、説明責任、継続的改善の九つの基本原則()を守ることが前提になる。これらの基本原則をどのように自社に適用するのかを見極め、適用の手順や方法、基準などをまとめる。

表●効果的な苦情対応のための基本原則と対応
表●効果的な苦情対応のための基本原則と対応

 それぞれの示すところについて以下で説明する。

アクセスは容易に、だが機密は守る

 公開性とは、「目に見えること、目に付くこと」を意味する。どこにどうやって苦情を申し出るのかについての情報はきちんと公表するということだ。製品のラベルや製品カタログ、取り扱い説明書などに記載したり、自社のWebサイトに公開したりして、苦情の受付窓口を周知させる。顧客やその他の利害関係者以外に、組織内で情報を共有化することも公開の対象に含まれる。

 アクセスの容易性とは、苦情に対応していくプロセスに関して、容易にアクセスできる受付方法を用意することである。容易かどうかを判断する特定の評価尺度があるわけではないが、どんな顧客であっても、苦情解決のための情報が入手しづらいと感じる状況はあるべきではない。

 応答性とは、苦情に対する敏感さ、反応の良さが必要だということである。応答性には、反応の早さだけでなく内容も含まれる。苦情が重大なものかどうかを敏感に察知して対応することが求められる。ソリューションビジネスの世界では、応答性はサービスレベルの評価の重要な対象になることが多い。苦情を機械的にさばくのではなく、把握した時点で課題を解決するよう努力すべきである。

 客観性は、顧客対応のプロセス全体で維持すべきものだ。受付時だけではなく、苦情の第一報の評価や対応方法の決定などについても、公平で客観的、偏見のない態度を貫く。

 料金の原則とは、苦情を受け付けた場合に、料金を請求してはならないということだ。BtoB事業では考えられないかもしれないが、BtoCでは料金を請求している事例があるといわれる。こうしたことを防ぐためのものである。

顧客重視を貫き継続的に改善する

 機密保持は、個人情報の保護を意識したものだ。個人情報保護法の順守を明言しているわけではないが、苦情対応マネジメントシステムを構築し、維持運営していくうえで、個人情報は慎重に取り扱う。社内のセキュリティにも十分な検討が必要である。

 顧客重視のアプローチとは、平たく言えば顧客を大切にする、あるいは顧客の立場で行動するということである。これを実現するためには、顧客満足とは何か、顧客満足を向上させるために組織として何を実行すべきかに関する、経営層の決意や方針の表明が不可欠である。方針が明らかでなければ、苦情対応マネジメントシステムで何を達成すべきかが決まらないからである。

 顧客重視のアプローチを進めるに当たっては、苦情はもちろん製品や仕事の進め方など様々な意見や情報などの顧客によるフィードバックを積極的に受け入れ、組織として活用していく。可能なら、顧客対応のプロセスの改善だけでなく、製品あるいは業務の進め方の改善や改良にまでつなげていく。

 説明責任とは、苦情にどう対応していくのか、苦情に対する結論は何だったのか、といったことを組織としてきちんと説明するということである。

 改善活動の継続も重要だ。ISO10002は、Plan(計画)-Do(実施)-Check(評価)-Action(改善)の管理サイクルの実行による、苦情対応マネジメントシステム、製品・サービスの継続的な改善を求めている。