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日立製作所 執行役常務 情報・通信グループ プラットフォーム部門CEO 北野 昌宏氏
日立製作所 執行役常務 情報・通信グループ プラットフォーム部門CEO
北野 昌宏氏

 現在、社会やビジネスの様々な分野で新しいニーズが顕在化しており、それに伴ってITへの期待も高まっている。新エネルギーへのシフトや環境保護社会への転換、産業構造の変化がもたらす世界的なインフラモデルの再構成をITの役割なしで語ることはできない。

 社会やビジネスのIT依存度は高まる一方で、不安を感じている人々も少なくない。もしITが止まれば、ビジネスは大きな影響を受ける。交通機関などのインフラがストップすれば、社会全体に大きな混乱を引き起こすだろう。こうしたユーザーの懸念に、ITベンダーは真摯に向き合う必要がある。


技術と経験を生かして推進する3つのクラウドソリューション

 新しい技術が登場すると、期待と不安が入り混じった反応がある。近年急速に関心が高まっているクラウドコンピューティングも同様だろう。コスト削減やビジネススピードの加速などの観点から、多くの企業がその導入を検討している。一方で、「セキュリティは本当に大丈夫なのか」、「サービスに障害が起きたとき、サポートはどうなるのか」といった声もよく聞かれる。

 そこで、日立はこうした不安を払拭しつつ、企業の基幹システムや社会インフラの要求水準にも対応できる高信頼クラウドサービスの実現を目指している(図参照)。

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 日立のクラウドソリューションには3つの柱がある。まずアプリケーション機能をサービスとして提供するビジネスSaaS(Software as a Service)。この分野では、すでに約4万社に利用されている企業間メディアサービス「Twx-21」などの実績がある。2つ目はITプラットフォームリソースをサービスとして提供するビジネスPaaS(Platform as a Service)。この分野でも、日立ソフトウェアエンジニアリングの「SecureOnline」などで経験がある。そして、3つ目がお客様サイト内にクラウドを構築するプライベートクラウド。ここでは、長年のSIの経験を生かすことができるだろう。

 これら3つのクラウドソリューションに関して日立は下地となる経験やノウハウをグループ内に蓄積し、サーバーやストレージ、ネットワーク分野における技術にも注力してきた。信頼性の高いクラウド環境を維持するためには、サーバーやストレージの仮想化と、その運用管理、ネットワークの技術がカギを握る。

 サーバーとストレージの仮想化について一般的には、これらのハードウエアを意識せずに利用できるようにするという考え方だ。仮想化されたサーバーやストレージは、アプリケーションごとに割り当てられるが、高信頼・高セキュリティを実現するためには更なる対策が重要である、と日立は考える。

 物理的なリソースを敢えて特定のアプリケーションに占有させ、独立性を高めることで、アプリケーション間の干渉を排除できる。設計段階で、処理能力を正確に見積もることも可能だ。「仮想化させない技術」と仮想化技術そのものを両立させることが、高信頼のクラウドの実現に重要だと考えている。

 クラウド時代には運用管理の役割も大きくなる。仮想化環境と物理環境が混在する中で、運用管理は複雑化しがちだ。運用管理にも一段と進化が求められている。この分野を担うのが当社の「JP1」である。その最新バージョンでは物理と仮想、両方の環境を統合的に管理できる。

 次にネットワークについてみてみる。以前は拠点とデータセンターを専用線で結んでいたが、最近はIPネットワークへの移行が進んでいる。専用線は信頼性に優れているものの、柔軟性やコストなどの面で制約がある。一方、IPネットワークは低コストで柔軟性も高いが、遅延が大きい。

 どちらも一長一短だが、最近は両方のメリットを実現する新しいIPネットワークが登場している。MPLS-TPという新方式のIPネットワークがそれだ。従来のIPネットワークは接続ごとに経路が変わるが、MPLS-TP方式では毎回経路を固定する。障害発生時には、あらかじめ設定した別の経路に切り替える。これにより、遅延を専用線並みに抑えたIPネットワークを構築できる。クラウドに対応する新しいネットワークとして期待を集めている。

総力を挙げて取り組む社会イノベーション事業

 今後は電力や交通といった社会インフラとITの融合が求められるようになるので、当社は2009年4月に情報・電力・電機融合事業推進本部を立ち上げた。同本部を中心に、研究開発や事業など様々な場面でITとインフラ関連分野の連携を強めていく。具体的なテーマの中からいくつか紹介しよう。

 その1つが省エネなどの観点で注目を集めているスマートグリッドだ。電源が多様化し、複雑な制御が求められる送電網を運営するためには、高信頼のITプラットフォームが欠かせない。また、より快適で安全かつ利便性の高い次世代交通システムにおいても、ITプラットフォームは大きな役割が期待されている。

 もう1つが今年7月に開設された環境配慮型データセンターだ。サーバーやストレージなどのIT機器はもちろん、当社は電源や空調など設備系の機器も扱っている。それらを最適な形で組み合わせ、運用の工夫なども加えて省エネ型のデータセンターを実現した。

 これらはほんの一例に過ぎない。社会インフラのイノベーションを実現するため、日立はグループ全体の組織や人材、技術を結集して様々な分野での研究開発を加速している。