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プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント 代表取締役社長 内田 士郎氏
プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント
代表取締役社長
内田 士郎氏

 数年前まで戦後最大の好景気が続いているといわれていた日本経済。それが現在、さながら砂時計をひっくり返したような形で、不況に見舞われている。

 こうした危機的な経済状況も、“人、モノ、カネ、情報”といったものが国境を超えて動き回るグローバリゼーションという観点を抜きには考えられない。グローバルな観点から見ると、現在の需要は本当に飽和状態にあるのだろうか。このことをスペンディング・ウェーブ(支出予測の波)という指標でとらえると次のようになる。

 一般的に、人は人生の中で45~49歳が最も潜在的需要を持っていると考えられている。米国では該当する年代の人口が2005年にピークを迎え、減少している。これが近年、米国市場において自動車や住宅の需要が大きく減退している事実と呼応している点は非常に興味深い。

 これに対して日本はどうか。1995年に45~49歳の人口がピークを迎え、その後下降をたどったが、今後、いわゆる“団塊ジュニア世代”がこの年代に入ってくるので、現在は上昇局面に転じている。従って、日本市場における潜在的需要はこれから高くなっていくだろう。

 同様の視点で中国を見ると、現在は非常に急激な上昇傾向にある。これまで中国は世界の生産工場として、輸出立国を進めてきたが、そうした上昇傾向の中で内需刺激型の体制に中国が移行するかどうかが1つのキーになる。

 さらに同じ指標で世界全体のトレンドをとらえると、需要は大きく右肩上がりとなる。今後、国内、中国だけではなく、世界のどこかに必ず需要があるわけで、日本企業にとってはそうしたグローバルなマーケットにどのようにアプローチしていくかが大きな課題である。

非連続なイノベーションを起こし次なる成長パターンへと移行する

 一方、現在の状況をビジネスのライフサイクルから把握するというのも有効である。ビジネスのライフサイクルとしては、低収益であるが従業員の創造性が高く、新しいものが生まれる状態にある「導入期」(冬の時代)から、新製品が出てきて活気ある状態で多額の投資が必要となる「成長期」(春の時代)、さらには高い成長を遂げ、収益を拡大していく一方で硬直化が始まる「成熟期」(夏の時代)、成長率が下がり、様々な見直しが必要となってくる「衰退期」(秋の時代)といったサイクルである。つまり、世界経済も、日本企業の多くも、この成熟期から衰退期に移行しつつあると考えられる。

 もっとも、衰退期に入ればそれで終わってしまうというわけでは決してない。グローバル企業を見ていると、ほとんどで成長機会が飽和状態になり、先行きが見えない状態となった段階で、新たな成長機会を探したり、成長機会を自ら創出していくこと、つまり“淘汰と革新”を続けていくことによって次の導入期へと移行し、成長を維持しているのだ。

 これはパラダイムシフトというべきもので、例えば、IBMが90年代にハードウエアの販売からソフトサービスへと事業転換したことは記憶に新しい。重要なのは、成長機会の飽和に直面してから、それまでの成長パターンと非連続な形でイノベーションを起こし、次の成長パターンへと移っていくことなのである。

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顧客への満足提供に向けた“志”を組織に浸透させる

 私ども日本のプライスウォーターハウスクーパース コンサルタント自身の取り組みも、まさにそうしたものだった。当社の前身であるベリングポイントは、米国本社が2009年2月に米連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したことを受けて、日本法人が分離・独立し、2009年5月からプライスウォーターハウスクーパース(PwC)のネットワークに参加した。

 従来、私どもが実践してきたコンサルティングサービスは、お客様の経営、財務状況をダッシュボードとして可視化し、業務効率の向上とコスト削減を支援していくという方向性を突き詰めながら、人材面での下支えをしていくというものであった。例えていえば“内科医的な手法”である。

 今回、PwCが擁する15万5000人のネットワークを獲得し、さらにM&Aや事業再生といった“外科的な手法”を持つディール部隊と協働できるようになった。さらにPwCは、153カ国で独立したオペレーションを行っており、日本のPwCも外部株主が存在しないプロフェッショナル組織である。そのグローバルなネットワークを通じて、グローバルなナレッジを、ローカルなお客様にシェアしていただけるような体制をとっているわけだ。そして、当社の提供するプロフェッショナルなサービスを通じて、お客様の成長が実現され、それがわれわれの成長につながるというビジョンに基づき、新体制を構築した。それが私どものイノベーションだった。

 これを実践していくうえで重要なのは、お客様の声(VoC)をしっかりと踏まえ、お客様に満足を提供するということ。さらに、お客様に満足を提供するのが従業員であることを考えれば、従業員の声(VoE)にも耳を傾け、従業員の満足を実現することも必要だ。それらを基に、目標に対してこうあるべきという演えき的アプローチと、過去の事実(実績)の積み重ねに基づく帰納的アプローチの双方を駆使したマネジメントを実施。その際、経営者の志を従業員1人ひとりにしっかりと植え付けていくことが重要な前提となる。

 われわれPwCは、単なるコンサルティング会社の枠を越えた、ワールドクラスの人材により、日本企業を支援していきたい。