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マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口 泰行氏
マイクロソフト
代表執行役 社長
樋口 泰行氏

 今回のサブプライム問題に端を発した世界同時不況は、かなり傷が深い。まだまだ調整局面が続くことを前提に、経営をしていかなければいけない。

 今回の調整局面では、多くの会社がレガシーなもの、今までの古い営業のやり方やビジネスモデルそのものを見直し、何とか長期的に競争力がつく形にしようと取り組んでいる。

 経営戦略という意味では、大きく分けてローコストをとことん追求するやり方と、差別化をとことん追求するやり方、あるいは両方を組み合わせるのが、常套手段となる。景気が調整局面に入ったばかりのときは、P/L(損益計算書)を少しでも良くしようということで、目の前の支出・経費を抑えることに力を注ぐ。それから、長期的にローコスト体質にするにはどうするかという議論に移って、現在は他社との差別化や優位性を確立するためにはどうするかに議論が移ってきている。

 こうしたダイナミックな戦略変更を迅速に実行していくには、その戦略を支えるITもダイナミックでなければいけない。しかし、戦略とITが表裏一体になっている業界では、戦略を打ち出してもITがついていかないことも多い。阻害要因としては、会社内に仕事ごとにバラバラのITが存在して全体最適が図れていない、システムが硬直化して機敏性がない、ユーザー指向になっていない、会社が縦割りになっていてガバナンスが効かないなどがある。こうした阻害要因を乗り越えて、全社の最適化を考えなければならない。

クラウドとの連携でビジネスの変化に柔軟に対応

 ユーザー環境やユーザーのワークスタイルは多様化している。PCだけでなく携帯電話などのモバイル環境が普及しており、企業のITシステムは好きなところから利用できるユビキタス環境にも対応する必要がある。また、どのデバイスを使ってもユーザーの操作性や経験が共通になるようにしなければいけない。マイクロソフトとしても、こうしたクライアント・サイドのテクノロジーへの開発投資は手をゆるめずに進めていきたい。

 基盤サイドは、プラットフォームをオープン化するだけでなく、会社の中にサーバーを置いて使用する「オンプレミス」とクラウドコンピューティングをシームレスに連動させていく。こうすることで、ITはビジネスの規模や変化に柔軟に対応できる。

 マイクロソフトはこれまで、ソフトウエアをライセンスやパッケージの形態で販売してきた。だが、これからはソフトウエアをネット経由でサービスとして提供する形態にも対応しなければいけない。これまでのビジネスモデルの自己否定になるが、世の中の潮流に合わせて対応をしていく。

アプリの移行を容易にする複数プラットフォームを提供

 現在、注目を集めているクラウドコンピューティングだが、我々の考え方は少し異なり、全くのクラウドというよりも「ソフトウエア+サービス」という考え方をしている。ここで言うソフトウエアとは、機器にインストールして使用するプログラムであり、サービスとはネット経由でソフトウエアの機能を提供することを指す。

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 ソフトウエアにはソフトウエアの利点があり、クラウドにはクラウドの利点がある。そして、ソフトウエアとサービスが必要に応じて臨機応変かつシームレスに連動していく。ユーザーは、どちらを使っているか意識する必要はない。今後はそういう時代になるだろう。

 そのために、我々は1つのアプリケーションを、ソフトウエアとしてもクラウドのサービスとしても提供できる環境を用意した。クライアントにはWindows、サーバーにはWindows Server、そしてクラウドサイドのOSにはWindows Azureを提供して、それぞれのプラットフォームの共通性を高めている。

 IT調査会社のIDCによると、ネット経由のサービスとしてアプリケーションを提供するSaaS(Software as a Service)モデルは年率32%伸びるという。またガートナーによると、2011年には25%のソフトウエアがネット経由のサービスで提供されるという。今後は、用途の違いや会社の考え方によって、両方をうまく組み合わせることが大事になってくるだろう。

複数ワークスタイルの情報管理基盤を共通化

 現在、様々なワークスタイルが存在する。外出先で仕事をするモバイルワーカー、オフィスワーカー、在宅ワーカー、業務特化型のワーカーなどだ。これらのワークスタイルは、それぞれ環境やニーズ、要件などが異なる。また、一人の人間がこれらのワークスタイルを併用している。弊社では、これらのワークスタイル間で整合性を持たせ、生産性が低下しないようにするためにOptimized Desktop環境を提供している。

 ここで重要になるのは、ユーザー認証とコンピュータ管理の基盤である。この共通基盤の上にソリューションを構築して、ユーザー単位、あるいはコンピュータ単位でポリシーを設定することで、集中的に管理できるようになる。ユーザーのポリシーが設定されていれば、どこのワークスタイルにいるときでも共通のポリシーで情報システムが利用可能になる。同じ情報管理基盤の中で、同じユーザー・エクスペリエンスを提供できるので、コストも低減できる。こうしたニーズに柔軟に対応できるのが本年発売予定のWindows 7であり、Windows Server 2008 R2である。

 大淘汰時代に入った現在、ローコストや差別化のさらなる追求など、経営やプロセスをダイナミックに改革していかなければならない。そうしたダイナミックな変革を支えるためには、オープンかつ柔軟なオンプレミスでの対応に加え、次世代コンピューティングであるクラウドへの対応が必要になってくるだろう。