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 日本オラクルを経て2008年3月にアグラを設立した丹下博詞社長。同氏は、独自開発したマスターデータ統合ソフトウエア「AGRA」が世界規模で需要を集めると自信を見せる。テクノロジーの中核に日本発のソフトウエアがないことが問題だと指摘する丹下社長に、AGRAのコンセプトや起業にかけた意気込みなどを聞いた。(聞き手は島田昇=日経コンピュータ)

「AGRA」は、どんな機能を提供する製品か。

 散在する複数のマスターデータを擬似統合するためのソフトウエアだ。例えば、企業の合併などでマスターデータの統合が必要になるとき、それぞれの企業が独自に構造化してある既存データはそのままに、あたかも一つ統合データのように検索できるようになる。2009年3月から販売しているが、すでに大型案件の引き合いなどがあるなど、滑り出しは好調だ。

 これまで、マスターデータを統合するためには、物理的に一つの巨大なデータベースを構築する必要があった。しかし、マスター同士を複数のプログラムでつないだり、データの意味やルールを合わせたりするのには大変な労力を費やす。AGRAでは、元のデータをいじらずに、ノンプログラムでそれぞれのデータの意味を意識した統合が可能になる。拡張性にも優れており、データの追加も容易である。

 また利用者は、データベースの定義やデータ値ではなく、日常のビジネス場面で用いている言葉のまま、情報を検索できる。大規模なデータベースを複数管理しなければならない企業グループにとって、AGRAは欠かせないソフトになるはずだ。

システムの統合とデータの統合は別物

具体的にどんな需要があるのか。

 ある繊維会社の情報システム担当者の実体験を紹介しよう。この会社ではERP(統合基幹業務システム)ソフトを導入した。その導入プロジェクトは、メディアでも成功事例として取り上げられていた。しかし、しばらく経ってから情報システム担当者が言うには、「システムは統合できてもデータはバラバラのままだ。バラバラのデータを集めて、Excelを使って一つにまとめているのが実態」だった。システムの統合とデータの統合は別物ということだ。

 M&A(企業の統合・合併)などにおいては、システムも統合しなければならない。M&Aは今後も増える傾向にあるが、経営の統合スピードとシステムの統合スピードが合致しなくなっている。ましてや、システム統合とは別にデータを統合しなければならないとなれば、ますます合致しなくなる。にもかかわらず、マスターデータをきちんと統合するためのソフトやツールが、世の中にはあまりにも少ない。需要はいくらでもある。

競合製品はないのか。

 当社の知る限り、AGRAと同じように、メタデータを含めたデータ統合を実現できるソフトは存在しない。AGRAは、ビジネスコンセプト、論理情報、情報システムの3階層からなるメタデータを活用した仕組みを持っている。この仕組みは特許を出願済みである。「セマンティック」や「オントロジー」という言葉が学者や研究者の間では使われているが、実際の現場ではそのための動きは稀だ。