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ソリューションプロバイダの2008年度の業績は全体として悪化した。この状況をITサービス会社に精通した証券アナリストは、どう見ているのか。今期以降の展望や不況に強いソリューションプロバイダになるための条件について、議論してもらった。(司会は本誌編集部、文中敬称略)

写真:中野 和志

昨年度のソリューションプロバイダの業績をどう見ていますか。

菊池 想定内とはいえ、きつかったなあ、という印象です。ただし、ITサービス業界は2008年度の業績が底で、さらに悪化することはないと見ています。

上野 同感です。ここまでの不況だと、10~20%減収といった企業が多くても不思議ではない。ところが大手SIerの2008年度の売上高を見ると、そこまで落ちてはいません。

 これは、不景気でも安定して稼げるストック型ビジネスの存在が大きい。大手ITサービス会社の場合、システムの運用・保守やアウトソーシングの売上高比率が4~5割を占めています。こうした企業は、早ければ2009年度下期に業績が回復するでしょう。

 思ったほど利益率が悪化していない点も、明るい材料です。過去の失敗を生かし、利益の不確かな案件を無理に受注しないところが増えている、ということでしょうね。

田中 お二人と同じで、2008年度で業績は底を打ったと見ています。受注ベースでは、2008年8月ころから落ち込み、昨年末から今年3月くらいまでが最悪だった。世界同時不況の到来で、企業のなかには必要な投資案件までも見送るところがありました。

 今後は景気が回復し、IT投資を再開する企業が増えるはずです。急激とまではいかなくとも、徐々に上向くでしょう。

 今回の不況では、多くのソリューションプロバイダが、外注費の見直しを早めに進めました。2003年ごろのITバブルが崩壊した時期とは違います。

不況に強い、もしくは将来性のあるソリューションプロバイダを見極めるポイントは何ですか。

上野 真 氏
上野 真 氏
大和総研
企業調査第二部 上席次長 シニアアナリスト

1990年、青山学院大学卒業、大和証券に入社。同年9月に大和総研へ出向し、未公開・店頭企業調査担当となる。1994年4月から店頭・ハイテク企業の担当を務め、1998年4月から現職。

上野 社長ですね。この業界は5年ぐらいの周期で新しいテクノロジーが出てきます。少なくとも3年前には次世代技術に対応するための準備に取り掛かる必要がある。このことを意識し、舵を切っているかどうかは、経営トップの発言から分かります。

菊池 親会社から社長が来るような会社は、ビジョンを持っているのかどうかすら分からないところが多い。自分の会社の事業内容などを把握するのに2年ほど掛かって、気付くと任期満了まで1年しか残っていない、といった笑えない話を聞くこともある。

 こうした状況で、経営トップが従業員や顧客、株主を納得させられるメッセージを打ち出すことはできないでしょう。

 ここまでひどいところは別として、経営戦略を描くだけで満足していないかどうかに着目します。目標を達成するために必要なリソースは何かを知っているか。それを確保するための手を打っているかどうかということです。