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長谷 和幸(ながたに かずゆき)
アイテック情報技術教育研究所 主席研究員

 今回取り上げるテーマは,LANスイッチの経路制御機能である。LANスイッチが持つ主な経路制御機能にはスパニングツリーがある。今回はこのスパニングツリーに加えて,広帯域化や冗長化を実現するリンクアグリゲーションについても解説する。まずはスパニングツリーから見ていこう。

問題

 ネットワークの冗長化に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。

 X社は,家具やインテリアの製造及び販売を行う企業であり,東京本社,名古屋営業所,大阪営業所及び静岡工場の計四つの拠点がある。各拠点LANは,広域イーサネットサービス網(以下,広域イーサ網という)にレイヤ3スイッチ(以下,L3SWという)で接続されている。広域イーサ網の回線速度は,各拠点とも5Mビット/秒である。各拠点には,販売管理サーバ(以下,HKという)があり,グループウェアによる情報共有を行っている。工場には,設計管理サーバ(以下,SKという)があり,本社と工場で共有している。また,IP電話による社内電話システムが構築されている。

 現在,X社の情報システム部では,拠点間の接続を二重化することを計画している。計画では,主回線にインターネットVPNを使用して,回線速度を約50Mビット/秒に高速化するとともにコスト削減を図る。バックアップ回線には,広域イーサ網を使用するが,回線速度は最低限の業務に必要なトラフィックである0.5 Mビット/秒にする。拠点間の接続を二重化したときのX社のネットワーク構成を,図Aに示す。

図A●拠点間の接続を二重化したときのX社のネットワーク構成(抜粋)
図A●拠点間の接続を二重化したときのX社のネットワーク構成(抜粋)
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 X社では,拠点間の接続を二重化した後に,SK及び本社のHKを本社へ移設して管理を一元化する計画である。そのためのネットワーク構成の変更案を,情報システム部のU君とO主任が検討することになった。

 最初に,インターネットのアクセス回線の引込み工事とVPN装置の接続作業を全拠点で行い,インターネットVPNを開通させた。次に,各L3SWでのOSPFの起動とVPN装置の接続を行い,広域網の二重化を完成した。

 その後,本社のL2SWの1台でL3SWと接続しているポートが壊れ,L2SW配下のPC及びIP電話機がネットワークから切断されるという障害が発生した。U君は,O主任の指示の下で,L3SWと2台のL2SW間を冗長接続して対処することになった。スイッチ間の冗長接続を,図Bに示す。

図B●スイッチ間の冗長接続(抜粋)
図B●スイッチ間の冗長接続(抜粋)
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 各L2SWはそれぞれ独立したネットワークセグメントなので,L2SWごとに異なるIDのVLANを割り当て,それぞれVLAN10,VLAN20とする。各スイッチ間の接続には,複数のVLANを中継できるようにIEEE 802.1Q規格の VLANを使用する。各スイッチでは,スパニングツリープロトコルを動作させて通信ループの発生を回避する。通常時におけるL2SWとL3SW間の通信経路は,もう一つのL2SWを経由しないように,(1)L3SWのブリッジプライオリティP1の値を設定し直して,適切なポートがブロッキングポートになるようにする。

 U君は,本社休業日に,スイッチ間の冗長接続の作業を行った。その後,O主任は,L3SWとL2SW間の接続を2か所とも,(2)2本のリンクによるリンクアグリゲーションに変更するようU君に指示した。U君は,変更の準備を進めつつ,引き続き社内ネットワークの運用及び管理に当たることになった。

設問1 本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

設問2 スイッチ間の冗長接続に関する次の問いに答えよ。

[1]本文中の下線(1)の値の決め方を,P2とP3を用いて25字以内で述べよ。

[2]本文中の下線(2)によって,期待される改善点は何か。L3SWとL2SW間の接続に障害が発生した場合を想定して二つ挙げ,それぞれ25字以内で述べよ。

(平成20年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験午後問題から抜粋)

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