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 総選挙に大勝ちし、民主党党首が「国民の皆様」に理解を呼び掛けている。「国民の皆様」とは、一体誰のことなのだろうか。官僚があたかも国民の敵のように扱われているが、公務員も会社社員と同じく大切な日本国民であり、その家族もまた政府のサービスを受ける権利を有する日本国民であることにどの程度意識を払っているのだろうか、といつも思う。

 氷山の一角の犯罪のために、日々骨身を削る公務員に白い眼が刺さるせいで、公務員を志望する優秀な学生が減り、あわや日本沈没である。政治家も公務員も、もちろん医師や大学教員も、企業のサラリーマンと同様に国民である。全員がサービスの供給者であり同時に需要者だという意識を改めてかみしめながら、以下を執筆したい。

(1) スターバックス事例における「カイゼン」のニュアンス

 9月10日に公開した、木村達也委員の本コラムで、スターバックスの「海外出店計画の縮小と多くの不採算店の閉鎖、さらに大規模なリストラを行うまでになった。 ・・・(中略)・・・ところが、今年7月に発表した4~6月期の最終損益は1億5150万ドルの黒字だった」という下りで苦笑された読者もおられたかと思う。「リストラを行うほどだったのに黒字に転じた」と読むか、「リストラを行ったから黒字に転じた」と読むかは解釈の楽しさである。

 だが、スターバックス事例を伝える英語原文を読む時間がとれないので木村委員の文章だけからの理解となるが、少なくとも、本来のカイゼンの効果が働いたケースとして理解することは難しいように筆者は思った。カイゼンは上からの命令ではなく、現場で作業する者たちが自分で知恵を出し合って変えていく活動である。新しいアイデアを出しても、そのアイデアを受け入れて働く本人の動機付けがなされなければ駆動力は得られないのであるから、ボトムアップに自分たちで改善していくプロセスの意味は大きい。

 Vice President of Lean Thinkingなる責任者が各現場を回るというトップダウンによる業務改善の効果は、責任者の人柄にもよるが、根本的な意味でカイゼンとニュアンスが異なるように筆者には感じられた。最後の「減収下での増益を確保したというのが実態なのだ」というオチに、背筋の凍るような説得力を感じた。