主幹研究員
染村 庸
前回は,「Green by ICT」や「Green of ICT」の具体的な算出手法について解説するとともに,これら算出手法を標準化する意味やITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)における標準化の動向について紹介した。第4回の本稿では,引き続きITU-Tにおける国際標準化を進めるための準備検討会「ICTと気候変動に関するFG(Focus Group on ICTs and Climate Change)」での検討結果,FG以降の検討体制と今後の具体的な標準化(勧告化作業等)に向けた課題について解説する。
世界20カ国以上がFG会合に参加
連載の第3回では,FGでの検討項目(D:Deliverable)や検討体制について紹介した。本稿では,FGのface-to-face会合の概要について報告する(図1)。

参加国の状況については図2を参照されたい。

第1回会合では,各国,各機関の取り組み状況についての発表,紹介が中心だった。検討項目ごとに今後の作業項目と進捗状況を記したリストを作成し,各Dの報告書原案を作成した。
第2回会合は,2008年11月にジュネーブで開催され,各Dの報告書の草案作成,Executive Summary(要約版)の作成決定,複数のDにまたがる寄与文書の取り扱いについて議論され,最終会合(2009年3月)までの作業スケジュールが確認された。すなわち2008年12月までにD1(気候変動に関連する専門用語・概念等についての各種定義),D2(ICTと気候変動に関するこれまでの取組状況及び今後必要となる取組についての分析),D4(ICT機器・システムの省エネルギー化に向けた取組及びICT利活用によるCO2排出量削減に向けた取り組みのためのガイドライン並びに当該取り組みを評価するためのツールの作成)を完成させることが決定した。
第3回(最終)会合は,日本が広島に招致し,2009年3月に開催され,D3(ICT機器及びICT利活用による他セクターの消費エネルギー削減量の評価手法)を中心に議論された。また,各Dのエディタからの活動報告と報告書の取りまとめ,報告書から得られる将来へ向けた課題について議論された。