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自社開発の技術や方式が標準化されるメリットって?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
瀬戸 康一郎
日立電線
情報システム事業本部
情報システム事業部
ネットワーク開発部 部長

 IT企業では,独自に開発した技術や方式を標準化してもらうために,IEEE(米国電気電子技術者協会)やITU(国際電気通信連合)に提案・申請することがあります。標準規格として認められると,その技術は競合他社も使えるようになります。では,莫大な投資をして開発した技術をわざわざ他社が使えるように標準化するメリットとは何でしょう。

 まず一つめのメリットは,その企業が蓄積してきたノウハウや得意とする分野の能力を発揮できるようになることです。他社よりもその分野で先行している分,市場から利益を得やすい状況が作り出せるわけです。

 しかし,標準化したい技術に自社で取得した特許がからんでいた場合はどうなるのでしょう。せっかく取得した特許を標準化のために手放した上,他社に利用されることになるのでしょうか。

 私がメンバーとして関わっているIEEEを例にお話ししますと,IEEE標準の規格になっても,特許を手放す必要はありません。ただし,IEEEに標準化の提案をする際に,その技術に関連して得ている特許を事前に申し述べておかなくてはなりません。これは,特許がらみのトラブルを回避するためです。また,IEEE標準の規格になった場合は,どの企業にもその技術を使う許可を出すように求められます。

 IEEE標準の規格になれば,技術を開発した企業は,その技術を利用する企業から特許料を徴収できます。これもメリットの一つです。実際には企業間でクロスライセンス契約をして,特許料の支払いを帳消しにすることもあります。なお,特許料の徴収は企業間の交渉ですのでIEEEは関知しません。

 もちろん,開発した技術を自社だけで独占して使うために標準化しない企業も多いです。標準化するか,自社だけの技術として囲い込んでおくかは,それぞれの企業の経営戦略によって違ってきます。