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[3]バックアップ---負荷の低い方式を使う

 三つ目の問題はバックアップだ。仮想サーバーでは,多数の仮想マシンで,ディスクI/OやネットワークI/Oを共有する。そのため図4(a)のように,仮想マシンごとにエージェントを配置するというエージェント方式(物理環境と同様の従来方式)では,複数の仮想マシンで同時にバックアップを取ると,ディスクI/OやネットワークI/Oがひっ迫する。これを回避するには,仮想マシンごとのバックアップ時刻をずらせばよいが,仮想マシンの台数が多いと,バックアップが夜間のうちに終わらないことがある。

図4●仮想サーバーの主なバックアップ方式と長所・短所
図4●仮想サーバーの主なバックアップ方式と長所・短所
仮想サーバーの主なバックアップ方式を挙げた。エージェント方式には,ハイパーバイザーにエージェントを配置するタイプもある。(a)(b)についてはDAS(DirectAttached Storage)を前提としたが,SAN環境でも利用できる
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 そのため,近鉄エクスプレスやバンダイナムコゲームスは図4(b)のハードウエア方式を採用している。ディスク装置のコピー機能を使い,日次で仮想マシンごとのLUN(Logical Unit Number)のスナップショットを別のボリュームに取る。近鉄エクスプレスは,それをさらにバックアップ・サーバーでテープ装置にコピーしている。

 ハードウエア方式では,バックアップの処理をディスク装置やバックアップ・サーバーが行うので,仮想サーバーには負荷がかからない。ただし,コピー機能を備えた比較的高価なディスク装置が必要になる。さらに一般に,ディスク装置は単純なコピー機能しか備えていないので,基本的にLUN単位でバックアップを取ることになる。

 もう一つ,VMwareの仮想環境であれば,「VMware Consolidated Backup(VCB)」というバックアップ方式も選択肢になる。この方式は,カシオ計算機などが採用している。VCB方式は,SAN(Storage Area Network)が前提となっており,基本的には,バックアップ・サーバーに導入したVCB対応のバックアップ・ソフトによって,仮想マシンごとの仮想ディスク(VMDKファイル)をバックアップ用記憶装置にコピーする。コピー中の更新データは,REDOログ・ファイルとしてSANディスク装置に蓄積される。

 この方式も,仮想サーバーに負荷がかからない。ただし,VMwareに特化したバックアップ方式であり,現状では対応バックアップ・ソフトが限られる。