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 ソニーは,関連会社のソニープロテクノサポートにデジタルシネマ事業推進部を新設し,国内映画館のデジタル化を支援するためのソリューション・サービスを10月1日に開始すると発表した。デジタル化によって配給側で削減される費用を映画館の設備導入に活用するスキーム「バーチャル・プリント・フィー」(VPF)を国内で初めて導入する。映画館がデジタル上映システムを導入しやすい環境を整えることで,グループで手がけるデジタルシネマ関連ビジネスを拡大させる狙いがある。

コストを下げて映画館のデジタル化を促すVPF

 映画館にとってデジタルシネマの導入は「運用コストが下がる」「番組編成の柔軟性が高まる」「スポーツイベントの中継や3D作品などの新しいコンテンツを上映できる」といったメリットがある。また配給側も上映フィルムを複製したり運搬・管理したりするコストを大幅に削減できる。しかし,上映設備の導入にかかる費用はこれまで映画館側が負担している状況で,大きな費用負担が障害となり導入がなかなか進まない状況が続いていた。そこで,配給側で削減できるコストを映画館側に還元することで映画館のデジタル化を促進し,業界全体でコスト削減を図る仕組みとして米国で登場したのがVPFである。

 今回ソニープロテクノサポートが提供するサービスでは,配給側から配給作品数に応じた手数料を徴収する。映画館側にはソニーのプロジェクターやシアター・マネジメント・システムなど,デジタル化に必要な設備を,配給側から集めた手数料を原資に低価格でリース提供する。また,設備リースと合わせてメンテナンス・サービスも提供する。「小規模映画館がデジタルシネマの標準規格であるDCIが改訂される度に設備を改修するのは大変だ。今回のサービスではこうした改修も含めてサポートする。映画館が独自にシステム運用する場合と今回のサービスを利用する場合を比較すると,導入から運用まで含めたトータル・コストは大幅に下がる」(ソニーマーケティングの早坂高志映像ビジネス推進室室長)という。

FeliCaやサイネージ事業との連動も視野に

 ソニーはデジタルシネマを推進するに当たり,グループで手がけるFeliCa事業やサイネージ事業との連動も視野に入れている。具体的には,FeliCaカードを映画館の会員証として導入することで,ポイントや割り引きクーポンとして使えるようにしたり,映画館内にデジタルサイネージを導入し,シネマコンプレックスに併設するショッピング・モールに誘導する広告を配信したりするなどの用途を想定する。さらに将来的には,上映する映画の映像データを,システム管理用に導入する回線を使って,映画館に配信することも検討している。

 VPFの仕組みをうまく回すには,配給側の協力が欠かせない。今回20世紀フォックス映画,ウォルト・ディズニー・カンパニー,ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの3社の制作/配給会社と,VPFを活用して映画館のデジタル化を推進する契約を結んだ。また,邦画系の配給事業者とも同様の交渉を行っているという。映画館側は,東映系のシネマ・コンプレックス運営会社「ティ・ジョイ」が今回のVPFを利用し,10月からデジタルシネマ上映システムの導入を開始する。将来的に同社が運営する全スクリーンへの導入を予定している。ソニープロテクノサポートとしても「4年以内に500スクリーン以上への導入」(早坂室長)を目指しているという。