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 シーメンスは世界190カ国に拠点を持つ電機・エレクトロニクスにおけるグローバル企業だ。2008年に大規模な組織改革を行った。従来の8つの事業グループを「インダストリー」「エナジー」「ヘルスケア」の3つの主要セクターに統合し、さらに世界の拠点を20のクラスター(地域)にまとめ、組織体系を簡素化した。また、当社は現在、「Fit4 2010(フィットフォー2010)」という全社プログラムを作って会社の持続可能な発展と価値創造に力を入れ、資産効率の最適化やグローバルGDP(国内総生産)成長率に対して2倍の売上高の伸びを維持することを目指すなどの取り組みを進めている。

4人のCIOが約6000人を率いる

ノルベルト・クラインヨハン氏
ノルベルト・クラインヨハン氏
ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州ウンナ出身。ドルトムント大学で数学・物理学の博士号を取得。1982年にドイツの通信・運輸大手マンネスマンに入社。2000年からシーメンスのロジスティクス&アセンブリシステムズのCIOなどを経て、2007年から全社CIO。

 シーメンスのIT(情報技術)組織には、全社のCIO(最高情報責任者)である私のほか、3つの主要セクターごとにそれぞれCIOがいる。この4人のシーメンスCIO取締役会の戦略的指揮の下、全世界で約6000人のITスタッフが活躍している。

 大きく複雑なIT組織におけるCIOとして最大の課題は、業務の連携だ。具体的には、要件の大きく異なる様々な社内向けITソリューションの標準化と個別化の最良のバランスを見つけ、それを世界中のITスタッフに周知させることである。

 ビジネス戦略において他社との差別化が必要でない分野では、一般的な標準ITソリューションの活用が正しいアプローチとなる。私が現職に就いた2年前は一貫してこの原則を適用し、例えばCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の分野で全社規模の標準技術としてSaaS(サース=サービスとしてのソフトウエア)の採用を決めた。これによって開発・運用の両面でかなりのITコスト削減に成功した。また、業務連携の別の例としては、シーメンス全体の透明性と統制というコンプライアンス(法令順守)に関してITが大きく貢献している点が挙げられる。

 同時に、大きなIT部門を抱える私としては次の3つのことに気をつけている。1つは、“カスタマー”(主に社内ユーザーを指す)の業務ニーズと使い勝手を最優先させたITソリューションを提供するということだ。2つ目は、「自分たちはビジネス価値を生み出している」とIT部門のスタッフに強く実感してもらうために、ビジネスの場で私たちのITソリューションが受け入れられているという事実を様々な形でIT部門に示すことだ。最後に、ITのプロフェッショナルとして有言実行を徹底することだ。こうした原則に従えば、カスタマーの満足度が上がり、結果としてITスタッフのモチベーションも高まる。

 私は通信産業大手の独マンネスマンにアプリケーション開発者として入社し、常にIT分野の道を歩んできた。2000年にCIOを務めていた産業用クレーンおよび物流オートメーションシステム大手の独マンネスマン・デマティックが、シーメンスの1事業部門であるロジスティクス&アセンブリシステムズと合併し、同社のCIOとなった。その後、シーメンスの自動制御ドライブシステム部門のCIOを経て、2007年から全社的なCIOに就任した。

 かつてCIOを務めた自動制御ドライブシステム部門(現・産業オートメーション&ドライブテクノロジー部門)は組織改革によって、中核ビジネスの1つであるインダストリー・セクターに入った。ビジネスに直結した同部門での仕事は本当に楽しく、ビジネスに関する様々な知見を得ることができた。だからこそ、全社CIOとなった現在でもセクターやクラスターごとのCIOの立場の違いやビジネスパートナー、カスタマーをよく理解できるし、今日の私があるともいえる。

 また、学生時代に数学を専攻して博士号まで取得できたことは、物事を簡素化することに情熱を持ち、柔軟に考える姿勢を身に付けるのに大いに役立っている。そして、IT分野を歩むという私のキャリアで気に入っている点は、柔軟な発想によって複雑な物事をシンプルにできる仕事であるということ。シーメンスの組織とビジネス、業務プロセスの複雑さは、実にチャレンジのしがいがある。

 私は、シーメンスをシンプルに改善していく能力を磨き続けるために、ビジネスの新しい動向に常に目を配っている。このことは実に楽しく、CIOという仕事をさらに興味深いものにしてくれている。

独シーメンス
1847年にドイツ・ベルリンで創業。世界で最初の鉄道を製造し、電車事業と電信事業で成長を遂げた。現在は電力、生産設備、医療、家電などを手掛けるコングロマリットとなっている。2008年度の売上高は773億ユーロ、純利益は59億ユーロ。社員数は世界で42万7000人。日本では1887年に創業