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 ファシリテーション・テクニックを極める当研究所。現場で培ってきた数々のテクニックやノウハウの中から、即効性があるツールを紹介しています。第13回と第14回は、「R&R(Role and Responsibility:役割と責任)と期待値の設定」を紹介します。プロジェクトに参画するメンバー全員で、役割や責任範囲、期待値(期待していること)を明確に理解し、表明しあうことで、プロジェクトを推進します。

 プロジェクトには、様々なバックグラウンドを持つメンバーが参画します。例えば、営業現場一筋でプロジェクトなどに関わったことがない人、当研究所のコンサルタントのように始終プロジェクトを遂行している人、などなどです。そこで重要なことは、ステークホルダー(プロジェクトの結果に影響を受ける利害関係者)間の認識のズレを可能な限り減らし、同じ目標を目指して、プロジェクト全体が動く状態を作り出すことです。

 次のような経験や体験を聞いたことはありませんか?「部長から急に呼ばれて参加することになったけど、何のためにセッションに参加しているのか今ひとつよく分からない」「ずっと経理畑を歩いてきたのに、営業部門の業務担当になってしまった。営業の仕事内容はよく分からないし、とても手に負えない」――。

 このようにメンバーのやる気が起きないと、プロジェクトのセッションでも黙ったまま座っていることになります。ますますプロジェクトに参画している意味が分からなくなり、悶々とすることになるわけです。

 認識のズレを放置すると、プロジェクトメンバーからは「それは自分の仕事ではない」「どこまで期待されているのかよく分からない」といった声が上がります。一方プロジェクトオーナーからは「期待どおりの成果が上がっていない」という声が出てきます。これではせっかく始めたプロジェクトが“空中分解”しかねません。

プロジェクトチームの四つの発展段階

 どうすれば空中分解を起こさずにプロジェクトを進めることができるのか。その前に、プロジェクトチームが一般的にどのような変遷をたどるかを見てみましょう。米国の心理学者ブルース・タックマン(Bruce Tuckman)氏によれば、どんなチームも「フォーミング(Forming)」「ストーミング(Storming)」「ノーミング(Norming)」「パフォーミング(Performing)」の順に4つの発展段階を経て形成されます。

フォーミング(Forming):1個人から1チームメンバーへ移行したばかりの状態
・控えめなコミュニケーションを取る
・与えられた仕事にのみ集中する

ストーミング(Storming):メンバー同士でのコミュニケーションが増える
・思うように仕事が進まず、不安や焦りが募る
・やることは分かっているが、どう取り組めば良いかが見えていない
・率直な話が始まるが、まだ信頼の基盤がないため、様々な衝突が起こる
・ゴールに向かって進もうとするエネルギーが欠如している