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 私は、ひょんなことから外資系企業に就職。海外子会社の社長にも就任しました。そうした関係で、多くの外国人の上司・部下・同僚・取引先・仕入れ先・外注業者などとのかかわり合いを持つことになりました。

 結論から申しますと、外国人の方々よりは日本人のほうがつき合い方の難易度が高いということになります。しかし、彼らのビジネスに対する考え方や文化をよく知らないと大きな問題を抱える結果になることは事実です。そうした点にも注力しながら私なりの“戦い方”というよりは“対処法”を述べたいと思います。

 私が初めて海外現地法人の社長に就任したときに、その会社のビジネスはあまりうまくいっておらず、赤字すれすれの所をウロウロしているというような有様でした。子会社とはいえ、初めて会社のトップに立つ私の意気込みは並々ではなく、様々なコスト削減策や売り上げ向上策を考えて矢継ぎ早に実施しました。

 私は就任初日、全社員を前にこう話しました。

 「利益を上げると全員がハッピーになれる。しかし、できなければその逆であることを全員が認識していただきたい。ケネディー大統領ではありませんが、会社が自分に何をしてくれるのか? と考える前に、自分が会社にどう貢献できるのかを考えてください」

 まあ、自分ではカッコいい演説であると思いながら、従業員に自分の考えを伝え、具体的に最初に手をつけたのが製品倉庫と受付でした。当時、それほど多くの製品配送があるわけでもないにもかかわらず倉庫を保有しており、倉庫管理と配送のために1人の正社員と配送用のクルマを保有しておりました。その国ではクルマの購入価格が尋常ではないくらいに高い(当時、カローラクラスで800万円くらい)うえに、オフィス面積の4分の1を占める倉庫のおかげで開発エリアや会議エリアが極めて狭くなっており、ビジネスに支障を来していたために別の場所を新たに借り増すプランさえ存在していました。

「倉庫は撤去、従業員2人は解雇します」と指示しましたが…

 早速、開発・営業・管理の3部門の責任者(マネジャー)を集めて「倉庫は外注に任せ、受付は内線リストと電話を置くだけにします。よって倉庫は撤去、従業員2人は解雇します」と指示しました。彼らはその場で「了解しました」と快く承諾したようにみえたのですが、1週間後に3人そろって私の部屋にやって来ました。

 開口一番「倉庫担当者は引き続き正社員として雇ってやってほしい」と要求してきたのですが、私はあまりの豹変ぶりに驚きました。以前のコラムで「No because より Yes butで対処する」という抵抗勢力に対する戦い方をご紹介しておりますが、この方法を初めて使って成功したのがこの場面でした。

 私は「分かりました。引き続き彼を雇いましょう」と答え、続けて「ただし、営業部門でセールスマンかセールスアシスタントとして使ってください」と指示しました。もちろん、私は倉庫担当者の経歴や能力を知ったうえで、セールスマネジャーに指示したのです。

 すると、セールスマネジャーは「お断ります。彼には無理です」と答えるのです。それではということで、続けて開発要員や総務要員として使ってくださいと各々のマネジャーに指示すると、セールスマネジャーと同じように「お断ります。彼には無理です」との返答が返ってきました。私が、「じゃあ、どうするの?」と3人のマネジャーたちに質問すると、3人は「解雇したほうがよいと思います」と答えました。

 何か、笑い話みたいな問答ですが、彼らは日本人と違って非常に割り切っており、ハッキリした考え方を持っているのです。私はこのことで、とても勉強になったことを覚えています。

 彼らが最も重要視するのは自分の責任領域の利益です。私に「あなたがたの部署で使いなさい」と言われた瞬間に、自部署の経費・利益率(ROI=投下資本利益率)や指導責任に及ぶわけですから、簡単に「Yes」とは言えないのです。当然、彼らは自部署の売り上げや利益、生産性に寄与しない人間をそう簡単には採用しません。我々日本人は彼らのこの徹底した自部門の利益にこだわる姿勢を見習わなければならないのではないでしょうか?

 それでは、そんな彼らがなぜ、私に雇用継続を要求したのでしょう?