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 新しく鳴り物入りで登場するものには常に大きな期待が集まるものだ。米国オバマ政権が掲げる新政策「グリーンニューディール」の旗頭として登場した「スマートグリッド」にも、このことは当てはまる。

 温室効果ガスに排出規制を求める法案「温室ガス排出制限とトレード」が議会下院で通過するなど、米国内でも環境問題に関連する規制は強まっている。そもそも米国は日本とは総発電量の規模が違う。日本が年間約20万メガワットなのに対して、米国は100万メガワットと約5倍にもなる()。

表●日米の発電規模は大きく異なる
発電容量 送電線の長さ 発電所の数
日本 20万メガワット 10万キロメートル 1432
米国 100万メガワット 30万キロメートル 2776

 その中でスマートグリッドは、排出制限、再生可能エネルギー利用の促進、電力ロスの削減、消費電力の抑制など、多くの課題に対する回答を示すことができるのだろうか。

米国のインフラは老朽化している

 米国はインフラの老朽化は深刻だ。隠れた大問題といってよい。2007年に中西部のミネソタ州ミネアポリス市で崩落した橋はその象徴だろう。地方道路や州をまたいで走る高速道路を見れば、事故を誘発するかのような穴があいていることが珍しくない。突然水道管が破裂し道路を通行不能にすることもしばしばある。

 日常生活のなかでも頻繁にインフラの弱体化を感じることが少なくない。筆者宅の裏庭には電柱が建っており、そこから電話のケーブルを引き込んでいる。筆者宅だけでなく、周囲の住宅数軒につながっている。ところがこの地域では少ない雨が降ったあと、降雨量が多いときには必ずといってよいほど、2回線引いた電話線のうち一つが不通になってしまう。

 筆者宅はその回線をデータ通信専用として使っているため、インターネットを利用できなくなってしまう。毎回電話会社を呼び出して修理を求めるのだが、一向に根本的な解決に至らない。どうやらその場しのぎの修理しかしていないようだ。維持管理作業も高いレベルにあるとはいえない。

 電力網も劣化が始まっている。2003年8月に中西部から東部にかけて起きた大規模停電は史上最大ともいわれるほどで、約5000万人に影響が及んだとの報道もある。2001年1月にはカリフォルニア州で電力不足により150万世帯が計画停電を強いられた。小規模の停電は大きく報道されることこそないが、日本と比較してもかなり多い。