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足立 祐子 氏
ガートナー ジャパン ソーシング担当
リサーチディレクター
足立 祐子 氏

 リサーチアナリストの仕事は,年間を通して様々な情報を収集し,その情報を整理・分析した上で,依頼主(クライアント)が直面する問題に対する解決策を立案・提言するというものだ。すでに表面化している問題に対する答えを導くだけではなく,何が問題なのかということまで定義するのが,一般的な調査と大きく異なる部分である。

 ガートナー ジャパンでリサーチアナリストを務める足立 祐子氏のキャリアは,証券会社に情報を提供する格付け機関で財務分析を行う仕事からスタートした。毎月50~70社の財務報告書を読み,財務内容を分析して将来予測を立てる。「まさに修行という感じでした」と足立氏は振り返る。だが,ここで培った情報分析のスキルこそが,現在の仕事に生きることになる。この会社で3年半のキャリアを積んだ後,電機メーカーの財務部門を経てガートナーに転職した。

 IT系の調査会社でアナリストとして成功するには,まず自分の専門分野を確立すること。ガートナーでは,インフラ,通信,セキュリティ,ITガバナンスなどの分野があり,足立氏の場合はそれがグローバルアウトソーシング(ガートナーではグローバルソーシングと呼ぶ)だった。

 「アナリストは,クライアントに名前と顔を覚えてもらって,やっと独り立ちできます。中国やインドといった多様な国と地域から,最適なITスキルやリソースを最適なコストでいかに調達するかというグローバルソーシングのテーマについて情報収集に力を入れ,成果を出せたことが,大きな自信になりました」と,足立氏はキャリアの転換点について語る。

真価は自分を取り巻く“コミュニティ”の質で決まる

 一見,華やかな職種とのイメージがあるリサーチアナリストだが,「現実はほど遠い」(足立氏)。取材して回った企業は,ブラジル,ベトナム,中国,インド,アルゼンチン,シンガポールなど世界中の50社以上。オフショア開発で成長している企業にアポイントを取り,実際に訪問して話しを聞くことの繰り返しだった。

 「取材を進めていくうちに,情報を提供したいクライアントの顔が見えてきました。その一方で,情報が蓄積していくにつれ,情報を求めて私の周りに人が集まるようになり,一つの“コミュニティ”が出来上がっていきました」と,足立氏は経緯を語る。ベンダーやユーザー,研究者など,様々な立場の人々がコミュニティに集うことで,活発に情報が交換される。これによって足立氏自身の人脈・ネットワークも急速に広がっていった。

 つまるところアナリストの真価は,自分を取り巻く“コミュニティ”をいかに形成できるかで決まる。 “コミュニティ”のメンバーから,いかに広く,深く,正確な情報を得られるかによって,そのアナリストの最終的な「提言」の質が変わってくるからだ。分析結果を提言へとまとめる段階で,同僚のアナリストとの間で熾烈な討論に打ち勝つために専門家や有識者からの情報が役立つのである。

 足立氏は,こうしたプロセスを経てグローバルソーシングに関する提言をまとめ,クライアントの信頼を勝ち取ることができた。同氏は今後もクライアントのビジネスを成長させるための提言をしていきたいという。

お仕事解説:リサーチアナリスト

中長期的な市場予測も重要な仕事

 企業への取材などを通して様々な情報を収集・整理・分析し,クライアントが抱えている問題に対する解決策を立案し,提言する。クライアントが現在直面している問題だけでなく,中長期的な市場予測を行って経営の指針を提供することも重要な仕事。既に表面化している問題に対する答えを導くだけではなく,何が問題なのかという定義までを行うことが,一般的な調査の仕事と根本的に異なる。

必要なスキル

  • 問題を定義する力
    常にクライアントの視点で問題意識を持ち,情報を収集・分析して問題点を明らかにすることが求められる。
  • 情報の収集力
    量と質のバランスを見極め,それを実現する方法を持っていることが必要となる。
  • メッセージの発信力
    自分の考えをきちんと論理的かつインパクトのある方法で人に伝えられることが重要。