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新野 竜太 氏
NEC サーバ事業部 第一技術部 主任
新野 竜太 氏

 「最先端の技術で構成されているので,前例が存在しないケースが多い。自分で道を切り開くのが,最新技術を使った製品を作るエンジニアの宿命と言えます」。NECで高信頼サーバーの開発に携わる新野 竜太氏は,IT系のハードウエア設計エンジニアとしてのやりがいをこう表現する。

 コンピュータの中身に興味があった新野氏は,大学・大学院で情報科学を専攻。回路シミュレーションを研究するかたわらで,アルバイトとしてLSI開発に参加する日々を送っていた。研究・開発職としてNECに入社したのは,2003年4月。そのわずか3カ月後の7月に,新野氏は同社の高信頼サーバーの開発プロジェクトの一員に抜擢された。

 新野氏が担当したのは,「Gemini Engine」と呼ぶ独自開発のプロセッサ(チップセット)の設計である。プロセッサの開発工程のうちの「論理設計」と呼ぶ部分を,8人いるチームの一員として担当した。「シミュレーション」や「論理合成」といった別チームと合わせて数十名のエンジニアが参加する一大プロジェクトの現場にいきなり放り込まれた格好だ。「入社してまだ3カ月しかたっていなかったので驚きました」。こう新野氏は振り返る。

直感とひらめきは知識と経験から

 ハードウエアを一から開発するため,ハードウエア設計エンジニアには特別な才能が必要というイメージがある。だが,新野氏は「設計上の直感やひらめきの背景には,知識と経験からくる演繹があります」と決して特別な才能ではないと否定する。知識と経験を生かして自分なりのスタイルを確立するのが,設計業務を円滑に進めるコツという。

 直感やひらめきに頼らない仕事の進め方は,ハードウエア設計で遠回りをしないための鉄則でもある。「電子回路におけるハードウエア設計のバグ修正は,1ミリ秒の挙動の解析に数時間かかる作業。知識があれば解析の対象個所を絞り込んだうえで修正作業にかかれる」(新野氏)。たとえば1GHzで動作するプロセッサは,1秒間に10億回以上の処理を実行できる。1ミリ秒で数時間かかる解析作業は,やみくもにできるものではない。

 新野氏はその後,2006年に米国企業との共同開発に際してNECの現地法人に出向してアーキテクチャ検討やプロトタイプ開発などを経験した。日本に戻った2007年4月からは,Gemini Engine開発チームの先頭に立ってきた。

 ハードウエア設計チームを率いる難しさは「将来の技術を見越すこと」と新野氏は言う。ハードウエアの開発期間はときに4~5年におよび,その過程で先端技術の方向性はめまぐるしく変化するからだ。

 最近では,製品の魅力をソフトウエアが左右する場面も増えてきた。ハードウエア設計エンジニアといえども,ソフトウエアの設計と無縁ではいられない。参加中のプロジェクトが一段落した2008年末から,新野氏はユーザーインタフェース担当のJavaプログラマとしても腕をふるっている。

お仕事解説:ハードウエア設計エンジニア

ハードウエアのアーキテクチャを設計

 ハードウエア設計エンジニアは,サーバーやネットワーク機器といったハードウエアを構成する部品を設計するのが主な業務となる。専門性を生かし,プロセッサやきょう体,基板,電気系と,それぞれの役割に応じて業務を進める。こうした専門家集団をまとめ上げ,一つの製品に仕上げる立場につくのが主なキャリアパスとなる。

 この職種を目指すには,高度な専門性が要求される。学術的・実務的なバックグラウンドが無ければ,スタートラインに立つのは難しい。まずは理科系の大学や専門学校などで知識やスキルを磨き,大学院に進むのが理想だ。半面,ほかの職種に比べて,即戦力として設計に携わるケースが多い。

必要なスキル

  • 大学院修了レベルの電気・電子工学などの専門知識
    入社後は即戦力を期待される。大学などでの研究や実務経験が必須。
  • 英語力
    ハードウエアの設計は国際色豊かな業務の一つ。英語を共通語とした議論は日常茶飯事である。
  • 設計用ツールに習熟するための基礎知識
    LSI設計では,設計にハードウエア記述言語(HDL)と呼ぶ種類のプログラミング言語を使う。そのため,C言語などプログラミング言語の知識が必要。