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日経コミュニケーションが総務省と共同で実施した「NGN/クラウド・コンピューティング時代の企業ネットワーク実態調査」で,WANサービスの最新利用動向が明らかになった。利用率はIP-VPNでNTTコミュニケーションズの「Arcstar IP-VPN」,広域イーサネットでKDDIの「KDDI Powered Ethernet」が,それぞれ8年連続の1位となった。

 現状維持か,コスト削減に向けてネットワークを見直すか──。未曾有の経済危機にさらされ,こうした決断を迫られているネットワーク担当者は少なくないだろう。本誌では,こうした企業ネットワークの実態を探るべく,2009年7月6日から8月3日にかけて企業ネットワーク実態調査を実施した。その結果から,WANサービスの利用率ランキングと,今後の方向性が見えてきた。

 調査は上場企業と店頭公開企業3786社を対象に実施し,1167件の回答を得た。なお今回の調査では,例年通りのIP-VPN,広域イーサネットといったWANサービス,携帯電話サービスなどの利用実態のほか,多くの企業が苦しんでいるコスト削減の影響や,パンデミック対策の取り組み状況についても調べた。

IP-VPN,広域イーサネット,首位は8年連続

 企業向けのWANサービスとして主流のIP-VPNと広域イーサネットは,それぞれのサービスの利用率に変化はあったものの,利用率ランキングの順位には変動はなかった。IP-VPNではNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「Arcstar IP-VPN」,広域イーサネットではKDDIの「KDDI Powered Ethernet」が8年連続で首位だった。

 基幹ネットワークでIP-VPNを導入している企業は1167社のうち625社(53.6%)。このうちの154社(24.6%)がArcstar IP-VPNを利用している(図1)。2位はNTT東西の「フレッツ・グループ」,「同アクセス」で121社(19.4%),3位はKDDIの「KDDI IP-VPN」で103社(16.5%)である。ただ,これらの上位3サービスは,いずれも利用率が下がっている。特に高品質・高信頼性を売り物とするArcstar IP-VPNとKDDI IP-VPNの減少幅が大きく,それぞれ昨年比で2.1ポイント,2.4ポイントのマイナスとなった。

図1●IP-VPNサービスの利用率ランキング<br>順位は2008年から全く変わらなかった。ただし,Arcstar IP-VPN,KDDI IP-VPN,FENICS ビジネスIPネットワークは,いずれも2ポイント以上シェアが下がった。
図1●IP-VPNサービスの利用率ランキング
順位は2008年から全く変わらなかった。ただし,Arcstar IP-VPN,KDDI IP-VPN,FENICS ビジネスIPネットワークは,いずれも2ポイント以上シェアが下がった。
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 これに対して伸びを見せているのがNTTコムの「Group-VPN」(4位)と,ソフトバンクテレコムの「ULTINA IP-VPN」(5位)である。いずれも昨年比1.2ポイント増で,14.7%(92社),14.4%(90社)となった。今回から選択肢に加えたNTT東西「フレッツ・VPNゲート」,「同ワイド」のユーザーも1.3%(8社)いた。フレッツ・VPNゲート/ワイドは,次世代ネットワーク(NGN)を利用するIP-VPNサービスで,今後,ユーザー数の増加が見込まれる。

 一方,今後IP-VPNを利用する予定とした企業は33社で,このうち10社がフレッツ・グループ/アクセスを,7社がGroup-VPNを採用するなど,やはり格安なエントリーVPNの人気が高かった。

上位がシェアを伸ばした広域イーサネット

 広域イーサネット・サービスは476社が利用中で,利用率は40.5%。利用率が下がった昨年から4.2ポイントの増となり,2007年と同水準に戻った。

 サービス別では,476社中167社が「KDDI Powered Ethernet」を利用していると回答した。利用率は35.1%で,昨年比3.0ポイント増だった(図2)。次いで多かったのがNTT東西の「ビジネスイーサ」,「同ワイド」で利用率は23.7%(113社)。NTTコムの「e-VLAN」が21.6%(103社)がこれに続く。それぞれ昨年比3.9ポイント,4.8ポイント利用率が上がっている。ユーザーの選択肢が上位のサービスに絞られる傾向にあるようだ。

図2●広域イーサネットの利用率ランキング<br>KDDI Powered Ethernetが3.0ポイント伸ばし,圧倒的な強さ。ただし,NTT東西のビジネスイーサ/ビジネスイーサワイド,NTTコミュニケーションズのe-VLANはそれぞれ,2008年よりも3.9ポイント,4.8ポイント伸びた。なお,NTT東西のビジネスイーサ/ビジネスイーサワイドは,2008年までは細かなメニュー別に集計していたが,今回から一つのブランドとして扱うことにしたため,2位に入っている。同様のカウント方法にすると,昨年は19.8%で同じく2位だった。
図2●広域イーサネットの利用率ランキング
KDDI Powered Ethernetが3.0ポイント伸ばし,圧倒的な強さ。ただし,NTT東西のビジネスイーサ/ビジネスイーサワイド,NTTコミュニケーションズのe-VLANはそれぞれ,2008年よりも3.9ポイント,4.8ポイント伸びた。なお,NTT東西のビジネスイーサ/ビジネスイーサワイドは,2008年までは細かなメニュー別に集計していたが,今回から一つのブランドとして扱うことにしたため,2位に入っている。同様のカウント方法にすると,昨年は19.8%で同じく2位だった。
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 今後利用する予定とした32社の選択肢を見ると,10社がe-VLAN,8社がビジネスイーサ/同ワイド,6社がPowered Ethernetと回答していた。これらのサービスの優位は揺るぎそうもない。

 このほかのWANでは,インターネットVPNも着実に利用率が上がっている。今回の調査では「利用している」と回答した企業は683社,58.5%と6割に届きつつある(図3)。

図3●インターネットVPNの利用率は毎年着実に上がっている<br>急激な変化ではないが,利用企業は6割に達しつつある。このうちの多くは通信事業者が提供するマネージドVPNサービスを利用している。
図3●インターネットVPNの利用率は毎年着実に上がっている
急激な変化ではないが,利用企業は6割に達しつつある。このうちの多くは通信事業者が提供するマネージドVPNサービスを利用している。
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アンケート調査の概要
総務省/日経コミュニケーションは2009年7月6日~8月3日,「NGN/クラウド・コンピューティング時代の企業ネットワーク実態調査」を実施した。対象は国内の証券取引所に上場する企業と店頭公開企業3786社。回答を得たのは1167社で,回収率は30.8%。