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 データセンターにサーバーを預けると,手元にはサーバーがないという状況になります。会社のすぐ隣にデータセンターがあるのなら,サーバーのLEDが点滅しているか確かめる,ケーブルをつなぎ変える,バックアップ・テープを交換するなどの作業が必要になったとき,サーバーがある場所に出向いて作業することに不都合を感じないかもしれません。

 しかし,データセンターと職場が離れている場合には,そうはいきません。ネットワーク越しに実施可能な作業なら問題ないでしょうが,リモートからでは実施できない前述のような作業が必要になったとき,サーバーがある場所に出向かなくてはならないのでは不便です。

 こうした不便さを解消してくれるのが,監視サービスや運用代行サービスです。自分の代わりにシステムの稼働状況を監視したり,運用作業を代行したりしてくれます。多くのデータセンター事業者は,ハウジング・サービスやホスティング・サービスに監視や運用代行サービスを付けて提供しています。そうしたサービスを利用する場合にいくらかかるのか,順を追って説明します。

監視サービスは目と耳

 監視サービスを利用すると,データセンターに預けているサーバーを見に行く必要がなくなります。一般に監視サービスでは,対象機器を24時間365日監視をし続け,障害を検知するとその内容を通知します。

 あらかじめ,何を監視するかを決めて,サービスの利用申し込みをします。サービス利用料は,1項目当たり月額1000円ぐらいから数万円ほどです。ちなみに監視システムを自社で構築するとなると,数十万~数千万円かかることでしょう。監視システムによる監視結果には誤検知が含まれる可能性があります。そこで,データセンター事業者によっては最後に人が確認して判断し,必要に応じて簡易的な復旧作業を実施したりします。このようなサービス内容の違いによって,サービス利用料に幅が生じるのです。したがって,複数のデータセンターに対して見積もりを取る場合は,監視サービスの実施内容やレベルを合わせる必要があるでしょう。

 なお,データセンター事業者によっては,ネットワークでつながっていればデータセンター外に設置した機器も監視サービスの対象に含めていることがあります。そうしたサービスを利用すれば,会社のネットワーク機器が障害を起こしたといった場合にも連絡が入るので,自社に監視システムを導入していないのなら利用を検討するとよいでしょう。

運用代行サービスはあなたの手の代わり

 データセンターには高度なセキュリティ対策が施されているので,預けている機器に行き着くまでに何重もの扉をくぐり抜ける必要があります。運用代行サービスの利用の有無によって,例えばネットワーク障害が起きたときに機器をリセットするという対処の流れには,次のどのような差が生じます。

【運用代行サービスを利用せず】
(1)監視で障害を検知
(2)リモート・アクセスを試みるが,できない
(3)データセンターに出向く
(4)入館手続きをする
(5)ゲートでセキュリティ・チェックを受ける
(6)セキュリティ扉を何回か通り抜ける
(7)ネットワーク機器が収まるラックの鍵を開ける
(8)ネットワーク機器をリセットする
(9)システムの稼働状況を確認する

【運用代行サービスを利用】
(1)監視で障害を検知
(2)リモート・アクセスを試みるが,できない
(3)監視センターに連絡して,ネットワーク機器をリセットするよう指示を出す
(4)オペレータがサーバールームに出向く
(5)ネットワーク機器が収まるラックの鍵を開ける
(6)ネットワーク機器をリセットする
(7)システムの稼働状況を確認する

 最も大きく違うのは,所要時間です。データセンターに常駐するオペレータがあなたに代わって作業を行うので,大幅な時間短縮が見込めます。また,24時間365日のサービスであれば,夜間に自宅から指示を出してシステムを復旧させることもできます。

 ネットワーク機器のリセットのような簡単な操作であれば,多額の費用はかかりません。高くても1~2万円程度でしょう。データセンター事業者によっては,基本サービスの範囲内ということで,無償で実施してくれるかもしれません。

ホスティングの費用も幅広い

 ここからは,機器ごと貸し出す「ホスティング・サービス」のコストの話をします。

 ホスティング・サービスには,1台のサーバーを複数の利用会社(利用者)が共用する「共有ホスティング」と,1台のサーバーを1社だけで使う「専用ホスティング」があり,それぞれ利用料やカスタマイズの可否などに違いがあります(図2)。

図2●共有ホスティングと専用ホスティング
図2●共有ホスティングと専用ホスティング

 ホスティング・サービスでは,ウイルス対策サービスやバックアップ・サービス,前述の監視サービスなどをオプションとして利用できることが少なくありません。サービスをうまく組み合わせれば,自社で構築するよりも低コストになるケースもあります。ただし,一つひとつの単価は安くても,数が多くなると大きな金額になることがあるので注意してください。例えば,ウイルス対策サービスが1アカウント当たり月額300円の場合,1000アカウントだと月額30万円(年額360万円)に膨れ上がります。

 ホスティング・サービスでは,システムの内容や管理体制,どこのデータセンターを使ってサービス提供しているか,などの情報が公開されていないケースが珍しくありません。利用を検討する際には,サービスの内容にとどまらず,そうした内容について問い合わることを勧めます。「ある日,電子メールのデータがすべてなくなりました」と連絡が入り,よくよく調べてみるとハードディスクが2重化されておらず,バックアップすら取られていなかった,というのでは取り返しがつきませんから。

こぼれ話:データセンターは熱との戦い

 データセンターの売りの一つは,「安定した空調」によって機器の熱暴走を防止できることです。しかし,近年の機器の高集積化やブレードサーバーの出現で単位面積当たりの廃熱量が上昇したことにより,温度の維持がかなり難しくなってきています。

 古いタイプのデータセンターでは,1ラック当たりの利用電源を制限したり,補助空調を設けたり,ラックにファンを取り付けたりと,あの手この手でどうにかしのいでいる状況です。

 一方,最近の多くのデータセンターは,空調効率が高まるように気流シミュレーション行っています。その結果に基づき,サーバーの排熱だけを集めた「ホットアイル」と空調機による冷気を集めた「コールドアイル」を設けるなどの工夫をしています。ホットアイルとコールドアイルをそれぞれ別の部屋として,熱を完全に閉じ込めるケースも見受けられます。

 データセンターで使われている電気の2/3から半分以上は,エアコンが消費しているともいわれています。当分は熱との戦いが続きそうです。

土屋 順一
リコーテクノシステムズITマネージド本部 EMS運用センター EMS運用部 監視・DC運用グループ リーダー
 EMS運用部は,リコーが提供しているデータセンター・サービス「ITKeeper EMS(エンタープライズ・マネージド・サービス)」の運用部門。監視・DC運用グループは,全国約60カ所の提携データセンターの管理業務と有人による24時間365日の監視オペレーションを行う監視統制センターを運営している。