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 1960年代に建築家クリストファー・アレグザンダーが考え出した建築理論が、半世紀を超えて現在のソフトウエア開発にどう影響したかをひも解いていく一冊。仕事でWikiの起源を知る必要があった筆者は、Wiki誕生の1991年よりはるかさかのぼって、アレグザンダーにたどり着いた。その中で、繰り返し現れる課題を解決する具体的な方策である「パターン」、アジャイル開発の代表格である「XP(エクストリームプログラミング)」とのつながりも見えたという。

 本書は三部構成で、第一部はアレグザンダーがパターンを生み出す過程を追う。1977年に253個のパターンをまとめた「パタン・ランゲージ」を著すにいたる試行錯誤がよくわかる。

 第二部と第三部はパターンとXP、Wikiとのつながりを書く。1990年代初頭、後にWikiを開発したウォード・カニンガムと、同じくXPを生んだケント・ベックがアレグザンダーに興味を持っていたことを契機に、ソフト開発にパターンの考え方を流用したという。

 生き生きした建物や町を作るには、住む人自らが設計して漸進的に組み上げることが必要というアレグザンダーの考えは、発注者と受注者の関係が硬直した日本の開発現場と照らし合わせると示唆に富む。

パターン、Wiki、XP 時を超えた創造の原則

パターン、Wiki、XP 時を超えた創造の原則
江渡 浩一郎著
技術評論社発行
2394円(税込)