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 データセンター事業者の業務内容を解説するこの連載の第5回では,BCP(Business Continuity Plan)対策に関する運用業務にスポットを当てる。BCPとは災害等が発生しても最低限度の業務を継続できるようにする計画のことである。業務にITが大きくかかわる現在において,ITがBCPに果たす役割は大きい。特に,BCP対策において,本番系はもちろんのこと,「予備系が障害時に正しく動作するのか」という点の確認は非常に重要である。ここでは,その業務について解説したい。

 当社は2カ所でデータセンターを運用しているが,本番系と予備系をこの2カ所のデータセンターに分散配置しているシステムがある。システムを分散配置することで,もし本番系が稼働するデータセンターに障害や災害が発生した場合,予備系を配置しているもう一つのデータセンターで運用を継続することができるからである。

 このようなBCP対策が施されたシステムの場合,予備系の配置や監視だけに満足してはいけない。本当に障害時に予備系が動作するのか定期的な確認が必要となる。

 そこで,ビジネス・インパクトの大きいシステムなどでは,契約に基づき,データセンター事業者側で定期的に予備系に切り替えて,システムが正常に稼働するかどうかについて確認試験を行う。動作確認後,本番系に切り戻しを行い,通常のシステム運用に戻すのである。

 実際の手順を見てみよう(図1)。あらかじめ用意した切り替え手順書に基づき,システムが実稼働しない日を選んで,予備系への切り替えを行う。予備系に切り替えた後は,一連の動作確認試験を行い,その結果を記録する。その中で発生した問題については原因を調査した上,切り替え手順書に反映する。例えば,システムの構成変更があった場合,万が一その内容が切り替え手順書へ正しく反映されていなかったならば,この動作試験で想定通りに切り替わらないことがある。そうしたミスを事前に防ぐために,このような定期的な切り替え試験は不可欠である。

図1●本番系から予備系への切り替えと動作確認の流れ
図1●本番系から予備系への切り替えと動作確認の流れ

 BCP対策は,とかくシステム構築時の設定に目が行きがちだが,こうした定期的な「訓練」を通じた手順の再確認こそ,BCP対策に実効性を持たせるために重要である。


柏原 丈二
株式会社STNet システム開発部 コンサルティング第1チーム
生産管理システム開発,2000年問題対応,年金システム開発,損害保険関連システム開発,商材企画業務などを経て,現在はITコンサルティング業務を担当している。システムアナリスト,システム監査技術者。趣味は登山。(本記事の執筆当時は事業企画部に所属)