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 ソフトウエア開発者には、二つの大きな派閥がある。一方は規律と管理を重視する派閥。もう一方は個人の自由奔放さや創造性を重視する派閥である。「創造性」をタイトルに掲げる本書だが、決して後者だけを正しいとはしない。ソフト業界で50年以上のキャリアを重ねてきた著者は「どちらも正しい!」と言い切る。実際、管理と規律でうまくいくソフト開発は多い。しかし管理が行き過ぎると、ソフト開発に欠かせない創造性を殺してしまうと主張する。

 もっとも本書は、創造性が「銀の弾丸」ではないとも指摘。評論家ニコラス・カー氏の論文「IT Doesn’t Matter」を引き合いに、「開発時に高い創造性を求められる戦略情報システムには価値がなくなった、なぜなら、創造性はすぐに模倣されるからだ」と喝破する。

 本書が二面性を持つのは、創造性を重視する人たちにも、管理や規律の有用性を考えさせるためだ。なぜなら創造性を引き出すには、「いつもとは別の考え方をすること」が有効だからである。本書には創造性を伸ばすための「ハウツー」情報も掲載されている。それでも本書の最大の魅力は、指示やハウツーに頼らず常に頭を働かせるよう読者を促す構成にあるだろう。

ソフトウエア・クリエイティビティ

ソフトウエア・クリエイティビティ
ロバート・L・グラス著
平鍋 健児解説
高嶋 優子/徳弘 太郎/森田 創訳
日経BP社発行
2310円(税込)