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英BTグループ パブリック&ガバメント・アフェアーズ部門 プレジデント ラリー・ストーン 英BTグループ パブリック&ガバメント・アフェアーズ部門
プレジデント
ラリー・ストーン

 日本では,通信と放送で分かれた法律を一本化する融合法制案が,2010年の国会に提出されると聞いている。テレビと通信,コンピュータはこれからますます融合し,経済成長を推し進め,光ファイバ・ネットワークの利用も増えるだろう。その促進のためには,関連するすべての市場で健全な競争状態を確立する必要がある。

 英国では,通信と放送の融合時代に向けた試金石とも言えるプロジェクトがスタートする。この7月に正式に発足した,英国放送協会(BBC)と英ITVという大手テレビ局,それと通信事業者である英BTが中心となっている協同プロジェクト「Project Canvas」である。

あらゆるプレーヤにインフラを開放

 Project Canvasでは,ブロードバンドにつながれた家庭に対して,高品質なテレビ番組をオンデマンドで無料配信する。

 ブロードバンドの映像配信といえば現在はパソコンが主な配信先だが,Project Canvasがメインの配信ターゲットとしているのはテレビである。ユーザーは,ブロードバンド経由でテレビ番組を受信できるSTB(セットトップ・ボックス)を購入することで,番組を無料で視聴したり録画して後日楽しめるようになる。

 Project Canvasの大きな特徴は,インフラや配信プラットフォームをあらゆるプレーヤに開放する点だ。コンテンツ・プロバイダやサービス・プロバイダ,さらにはメーカーなどが,Project Canvasの配信プラットフォームを利用して,この上で自らのビジネスを展開できるようになる。例えば,コンテンツ・プロバイダは自社ブランドで,自分たちの番組を視聴者に提供できる。これは,当然新たな収益源になる。

オープン&イノベーションの精神

 英国の規制当局である「Ofcom」は,コンテンツの配信面でも公正な競争が働くための政策を検討している。英国の有料テレビ市場は,英スカイがほぼ独占しているが,そのスカイが持つスポーツや映画番組などの有力コンテンツを,他事業者も配信できるようにするのだ。

 当然スカイは,このプロジェクトに懸念を示している。しかしProject Canvasの特徴は,スカイも同様にこのプラットフォームを利用し,新たなサービスを展開できる点にある。

 Project Canvasの根本にある精神は,BTが英国内で進める次世代ネットワーク計画「21CN」と同じである。21CNは,競合の通信事業者やエレクトロニクス企業が対等に利用できるプラットフォームだ。ある時は競争状態になることも認めたうえで新規参入事業者を呼び込み,新たなサービスの発展を図る。これこそ,オープン&イノベーションである。

 Project Canvasで,通信と放送というこれまで競合関係にあったBTとBBCが協調することは,まさに融合。市場融合に向けた変化は,確実に起こっている。

ラリー・ストーン(Larry Stone)
英BTグループ パブリック&ガバメント・アフェアーズ部門 プレジデント
 日本の衆議院選挙で自由民主党が多くの議席を失い,民主党が逆に300を超える議席を獲得したことに英国でも高い関心が集まっている。2010年夏には英国でも選挙が行われる。現在,政権を持つ労働党は,もう10年以上も大多数の議席を保持してきた。しかし,最近の調査によれば,保守党が大きくリードをしている。英国でも,日本と同様に大きな変化が起こるのだろうか。