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NTTドコモは,モバイル・インフラの運用で発生する大量データの分析「ペタマイニング」を進めている。「モバイル事業を通じた社会貢献」(山田隆持社長)を標榜するドコモによる新しい取り組みだ。2009年7月には,同社が「社会の頭脳」と呼ぶ,大規模なマイニング用設備を構築した。

 NTTドコモが「ペタマイニング」と呼ぶ研究開発プロジェクトを開始したのは2008年春のこと。同プロジェクトでは,モバイル・インフラの運用に伴って発生する大量のデータを活用し,時間ごとの人口の変化などを推定。分析したデータを,都市計画の立案や交通サービスの改良といった社会の様々な課題解決に役立てることを目指している(図1)。扱うデータ量がペタバイト(テラバイトの1000倍)に上ることから,「ペタマイニング」と名付けた。

図1●NTTドコモが進める研究開発プロジェクト「ペタマイニング」<br>モバイル・インフラ運用に伴って発生するデータを,社会動向の把握のために活用する研究を進めている。7月には,そのデータ・マイニング実行設備として約200台のサーバーで構成した「社会の頭脳」を完成させた。将来的には自治体などと協力して,解析したデータを地域の防災計画などに役立てることを目指している。
図1●NTTドコモが進める研究開発プロジェクト「ペタマイニング」
モバイル・インフラ運用に伴って発生するデータを,社会動向の把握のために活用する研究を進めている。7月には,そのデータ・マイニング実行設備として約200台のサーバーで構成した「社会の頭脳」を完成させた。将来的には自治体などと協力して,解析したデータを地域の防災計画などに役立てることを目指している。
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 同社は,ユーザーの行動支援サービス「iコンシェル」を推進しているが,これとペタマイニングは別物である。iコンシェルが個人の趣向を分析するのに対し,ペタマイニングはマクロな動態データを統計的に分析する取り組みである。

経営幹部の示唆で研究スタート

 ペタマイニングは,ドコモにとってこれまでに無い研究領域だ。研究を始めたきっかけは「新たな研究開発の目標を模索する中,経営サイドから示唆があった」(同社の村瀬淳先進技術研究所所長)ことだったという。

 携帯電話端末は,ユーザーがどこにいても着信できるよう,定期的にネットワークに位置を通知する。約5500万契約を抱えるドコモは,日本の人口の約半数の位置情報を把握していることになる。このようなデータを,ドコモはこれまで設備の維持・管理や投資計画用に活用してきた。

 「このデータの使い道を広げれば,どの地域に何人くらいのユーザーがいるのか,時間ごとにどう変化するのかなどを“見える化”できる。これによって社会の様々な課題解決に寄与できると考えた」(岡島一郎先進技術研究所ネットワークシステム研究グループ主幹研究員)。

 例えば,ある地域の人口の時間変動が推定できれば,バスやタクシーの運行スケジュールや配車の最適化に役立てられるといった具合だ。