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 米国の金融業界を中心に世界経済に激震が走っているが、日本の金融は既にそれを経験済みだ。りそなホールディングス執行役の深井慎さんもその真っただ中にいた。30年間勤め上げた銀行では、現場から本部へ。金融再編時には、広報・IR(投資家向け広報)で矢面に立った。2007年、情報システム担当の役員になったが、全社を見渡す役割という意味では金融再編の時代と同じだ。

 深井さんは今の仕事を楽しんでいる。IT(情報技術)はものを作るから面白い。りそなのトップ交代で、システム部門は縁の下の力持ちから全社をリードする部隊になろうとしている。

 全社システムのフルアウトソーシングに踏み切る際に、システム子会社を売却。システム部門は企画管理だけを行い、開発と運用はいずれもフルアウトソーシングした。その利点は、外部専門家のノウハウが使えること。コストメリットよりも、品質メリットが大きい。長年業務に付き合ってくれたパートナーは内部同様の働きをしてくれる。7月22日に終わった近畿大阪銀行のシステム更改がかなりうまくいったのも、りそな銀行のシステム統合プロジェクトをアウトソーサーとともに経験してきたからだ。

部下に方向は示すが、やり方は任せる

 もちろん、フルアウトソースなりの悩みもある。部門が現場を知らなくなることだ。これが進めば、仕事がブラックボックス化し、すべてがアウトソーサー任せになってしまう。この課題を解決するために、開発プロジェクトにも首を突っ込む。そして、自分たちでも品質管理を行うとともに、アウトソーサーとの人的交流を深め、品質の向上と人材育成を同時に実現しようとしている。協力体制をきちんと作り、外と中を意識しないでお互いの強みを繋ぐことで全体の組織が強くなる。

 自然体が好きだから、仕事は面白くないといけない。部下に対しても、方向は示すがやり方は本人に任せるようにしている。面白い仕事をさせることで、自然と創造力が生まれてくる。銀行マンは本来言われた仕事をやることが多いが、システム部門は好きなことをしたほうがいい。生粋の銀行マンから好きにやってみろと思われるシステム部門の人間は幸せだと思った。

石黒不二代(いしぐろ ふじよ)氏
ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO
 シリコンバレーでコンサルティング会社を経営後、1999年にネットイヤーグループに参画。事業戦略とマーケティングの専門性を生かしネットイヤーグループの成長を支える。日米のベンチャーキャピタルなどに広い人脈を持つ。スタンフォード大学MBA