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 前回のコラム(リレー連載)では、実際にウェブサイト構築におけるサービス・イノベーションへのアプローチについて説明した。今回は、より具体的な施策について書いてみたい。

ユーザー体験シナリオを実現するための下準備

 ユーザー体験シナリオがウェブサイト構築のベースになりサービス・イノベーションへのアプローチの最初のステップになることは、私のコラムで何度となく、説明してきた。ユーザー体験シナリオからコンテンツ(情報やサービス)プランが導き出され、これがまさに、企業が提供しなければならないコンテンツ(情報やサービス)だということは、理解できてもそんなウェブサイトがすぐにできるわけではない。

 それでは、すぐにやらなければならないことは何か?それが今回のコラムのテーマである。

まずやらなければならないことは以下の3点
(1)目的に応じた測定指標を立てる
(2)「運用」 「管理」 「更新」 体制のフロー化
(3)コンテンツの一元管理

 この中で(1)は、説明するまでもなく必要な物であり、プロジェクトが結成される理由にもなる。しかし(2)と(3)は、事前に考えられることはなく、その結果せっかくのユーザー体験シナリオも有効に運用管理されないままその機能を果たせないのが現状である。

 さらに、そもそもコンテンツ(情報)がユーザーにきちんと伝わる物でないと、運用管理も意味を持たない。運用管理のために必要なコンテンツ(情報)の一元管理も、コンテンツそのものが「分かりやすいコンテンツ(情報)」でなければ、管理する意味も必要性もない。

コンテンツ(情報)の一元管理には文章構造の統一が必要

 ユーザー体験シナリオからコンテンツプランが導き出されていれば、コンテンツ(情報)そのものの整理は終わっていると考えてよい。次に考えなければならないことは、そこで整理したコンテンツ(情報)が、ユーザーに伝わるかどうかである。

 そのためには、コンテンツ(情報)そのものの文章構造とその構造で、どのようにページが構成されるのか?ということを考えなければならない。

 ユーザーに伝わるコンテンツ(情報)でなければ、何も始まらないのである。そしてこれが、コンテンツ(情報)一元管理のキードライバーになる。例えば、プレスリリースがさまざまなフォーマットでリリースされている会社があったとする。

 これは、日付とかタイトルなどでの検索が不可能であると言うことを意味している。ユーザーが捜しにくいだけではなく、管理運用も負荷がかかることは言うまでもない。文章構造がコンテンツ(情報)を一元管理するキーであり、さらにコンテンツ(情報)の一元管理が運用管理のキーであるといえる。

 そして、それをなし得ることは、ユーザーに分かりやすいコンテンツ(情報)を、素早く最適な形で提供するための最低限度の施策であることを理解しなければならない。

ガイドラインの必要性

運用管理とコンテンツの一元管理は、密接に紐付いている。

 これを明確に定義しなければ、あるべき運用管理は見えてこない。ガイドラインは、人の流れ、制作の流れをスムーズにし、品質の向上を図る。ツールは社員全員が使ってはじめて機能する。しかし、使いこなすまでの道のりは長い。使う人一人ひとりが、ツールの持つ意味、効果的な使い方を理解し、活用するときに最大限の力を発揮する。

さらに以下のメリットも考えられる。

(1)品質の向上
 制作者のレベルにかかわらず、コンテンツの品質を一定以上に保つことができる。

(2)コスト削減
 制作者の誰もが決まったルールで手を加えることができ、作業を効率化する。

(3)発注の利便性
 制作を内部の複数部署や外の制作会社に委託する場合、細かい説明をする必要がない。

 ガイドラインの種類や内容に関しては、以下の表を参照のこと

表1●ガイドライン
ガイドライン 内容 目的
ウェブサイト
ガイドライン
プロジェクトのターゲットを定義。(達成目標、ターゲット顧客、目標実現の手段、スケジュール、など) プロジェクトの目標を明らかにし、メンバーが最後まで共通の目標を持ってプロジェクトにあたることができる。
システム
ガイドライン
システム構築の基準を定義。(セキュリティー、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、対応規模、障害対応、ユーザ環境、など) サイトの目的、必要なサービス、ユーザー像から、一貫したポリシーに基づいて必要最低限なシステム構築を行う。
HTML
ガイドライン
ページ制作を行うルールを定義。(共通のファイルディレクトリ命名方法、画像取り扱い方法、HTML文法、など) お客様に対してよりアクセスしやすいサイトを提供できる。また、制作側から見ても、無駄のない制作をする事ができる。
ウェブサイト
フローチャート
サイト画面構成、リンク構造を定義。(ページ数、リンク関係、ページの種類、タイトル、画像、ボタン、など) サイトの構造、内容、規模、ページ遷移を俯瞰でき、一定のルールにそって拡張、更新できる。
デザイン
ガイドライン
UIデザイン、グラフィックデザインを定義。(デザインコンセプト、基本レイアウト、領域サイズ、フォント、アイコン、基本色、配置、など) サイト全体にグラフィックの統一感を持たせる事で、快適なナビゲーションを提供し、お客様に安心して使ってもらう。
表記ガイドライン テキストの文書構造、表記ルールを定義。(文書構造、文章のトーン、操作指示語、固有名詞、記号の使用基準、フォームの項目表記、など) 表記・表現の統一をし、文書構造を明らかにし、お客様に理解しやすいコンテンツを作成する。
CIマニュアル、
VIマニュアル
CI、VIを定義。(企業理念、企業ロゴ、マーク、カラー、ブランド名、社内ツール、各媒体での使用規定、など) 提供するサービスすべてに統一したイメージを構築。企業、ブランドに一体感を持たせる。
運用ガイドライン 運用手順、ルールを定義。(顧客対応手順、運営業務フロー、社内決裁ルール、社外発注ルール、など) 運用に必要なルールを共有し、効率的な運営を実現。改善点の早期発見につなげる。
体制図 プロジェクト体制を定義。(プロジェクト組織、社内、社外メンバー、所属、連絡先、担当業務、責任範囲など) メンバーの責任の範囲を明確にし、連絡体制を構築。全体の意思決定をスムーズにし、プロジェクト進行する。
制作ガイドライン サイト制作ルールを定義。(管理サイト利用法、テンプレート制作、チェックシート、サイト更新手順、など) 作業手順やチェック方法を明確化。データのやり取りや制作、サイト管理をスピーディーに行う。