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 情報システムの“ユーザー企業”にとって、情報システムをどう活用すれば競争力を強化できるのか。ITベンダーやシステム・インテグレーターなどの営業トークや提案内容を見極めるうえで何に留意するべきか。ITベンダーなどに何かを求める以前に、“ユーザー企業”が最低限考えなればいけないことは何か――。

 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、情報システムの“ユーザー企業”の経営者・担当者の視点から、効果的な情報化のための発想法を解説する。

 前回(第1回)では、情報システムの活用を誤るダメな“ユーザー企業”の3つのパターンのうち、「流行に踊る“ユーザー企業”」について書きました。

 ダメな“ユーザー企業”のパターン2は、「業種」で固定的に物事を考える姿勢です。

 既に大半の日本人は業種で物事を考えてはいないと思います。同じ業種であっても株価には大きな差があったり、複数の業種にまたがる企業が存在したりして、企業活動を業種というくくりで考えることに無理があるケースが増えてきました。

「銀行」「外食」といった業種区分が現実離れする時代に

 例えば、銀行という業種を考えた場合、銀行という言葉から誰もが思い浮かべる姿とは別に、個人の資金決済、資金運用、ローンやライフプランといった観点で考えてみると、銀行以外の多くの業種業態が私たちの生活に関係しています。

 あるいはサラリーマンの昼食市場を考えた場合、外食という業種の中での競争だけではなく、コンビニエンスストアの弁当、ファストフード店のテイクアウトなど、様々な業種業態の中での競争を想起すべきです。業種というのはもはや統計上の分類目的のカテゴリーであって、今や競争範囲や競争相手を示すものではないのです。

 しかしながら、“ユーザー企業”のシステム企画を担当する人の中で、業種の枠を超えて物事を発想しようとする人がどれだけいるでしょうか。「銀行や保険会社のシステム企画部門が、コンビニのIT戦略からヒントを得た」といった話はなかなか聞けません。あるいは新たな販売チャネルを構築したいと考える際や、事業構造の改革に着手したいと考えたときに、全く別な業種業態からヒントを得ようという姿勢が、“ユーザー企業”のシステム担当にあるでしょうか。

 前回の連載「ダメな“システム屋”にだまされるな!」で取り上げた一部のダメな“システム屋”(ITベンダー、システム・インテグレーター)は、業種で物事を考える典型です。もともとシステム会社の多くは、A銀行での経験をB銀行に横展開して収益を得るというモデルであり、“ユーザー企業”が業種で物事を考えてくれると商売がやりやすいという事情があります。

 “ユーザー企業”がこれに同調してはいけません。

 例えば、学習塾という事業を考えた場合、成績優秀な母集団に対して有効な教育方法が、それ以外の母集団に対して効果が大きいとは一概に言えません。しかし、もし平凡な成績の生徒や親たちが、優秀な生徒向けと同じ方法・教材を喜んで受け入れてくれるならば、学習塾としては大いに儲(もう)かることになります。もちろん、そんなことを喜ぶ親たちはいませんから、学習塾の中でもすみ分けができることになります。