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 情報システムの“ユーザー企業”にとって、情報システムをどう活用すれば競争力を強化できるのか。ITベンダーやシステム・インテグレーターなどの営業トークや提案内容を見極めるうえで何に留意するべきか。ITベンダーなどに何かを求める以前に、“ユーザー企業”が最低限考えなればいけないことは何か――。

 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、情報システムの“ユーザー企業”の経営者・担当者の視点から、効果的な情報化のための発想法を解説する。

 第1回と第2回で、情報システムの活用を誤るダメな“ユーザー企業”の3つのパターンのうち、「流行に踊る“ユーザー企業”」と「業種で物事を考える“ユーザー企業”」の2つを挙げました。

 ダメな“ユーザー企業”の3つ目のパターンは、会社の「規模」で物事を考える姿勢です。

 この姿勢は、企業規模が大きくなるほど傾向が強まります。大企業の情報システム部門は、ほかの似たような規模のシステム部門スタッフと同じことを考えるだけでなく、同じようでありたいと願っているようにさえ、私には見えます。規模が同じというだけで何ひとつ同じことはないはずなのに、です。

時間軸の中で事業環境をとらえるべき

 規模という観点は、「業種」と同様に、あくまで統計上の分類目的のカテゴリーだと考えるべきです。第1に、空間的に考えて、大企業の全部門が同一の課題で一色に染まっているなどとは考えられません。

 第2に、時間的に考えて、規模という結果の状態をとらえるよりも、時間の流れに位置づけて、事業環境を動的にとらえることのほうが有意義です。時間の流れの中で「事業構造を再構築しなければならない観点」「景気変動の悪影響を極小化し好影響を最大限活用することを考えなければならない観点」「成長を加速させたい観点」「停滞を打破したい観点」「市場が供給不足なのか供給過剰なのかといった需給の観点」など、発想するべきことが多々あります。

 大企業のシステム部門は、情報システムや情報化投資を、国語・算数・理科・社会の1科目のようにとらえる傾向があります。受験戦争を勝ち抜いた“偏差値エリート”にとって、経理や販売も分かることが必然であるように、情報化やシステムのこともある程度は分かると言うかもしれません。しかし、経理や販売が分かるだけで企業の成長や競争力強化に直結させられないのと同じで、システムが分かるだけなら解説者にすぎません。

 一方で、中堅企業などの経営者から「情報システムのことは分からない」「情報システムが分かる人材がいない」とよく聞きますが、このセリフ自体も単なる解説にすぎません。もっと言えば言い訳でしょう。

 システムがすべてを解決するわけではもちろんありません。あらゆる課題に情報化が効果を生むわけではありません。しかしながら情報化は、業種や企業規模とは異なる観点で柔軟に施策を考えたとき、そこに思いがけないブレイクスルーが隠されていることもあるのです。