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 エリア限定ワンセグは,実証実験という形で全国で取り組みが行われている。しかし,これまでの実験の多くは,1日程度のイベント的な運用であったり,電波の伝播環境を調べるといったものが多かった。その中で,実用化を見据えた本格的な取り組みとして注目を集めたのが,米子市を中核に鳥取県西部をサービスエリアにするケーブルテレビ会社「中海テレビ放送」を中心にして行われた実証実験である。

図1 実験の概要(総務省中国総合通信局からの発表資料より)
図1 実験の概要
(総務省中国総合通信局からの発表資料より)
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 この実験は,中海テレビ放送のほかに,サテライトコミュニケーションズネットワーク(SCN),DXアンテナ,KDDIが実験主体となり,米子市の隣にある日吉津村において,3カ月間実施された。日吉津村は,米子市のベッドタウンであり,かつ大型のショッピングモールが進出している。ここで,(1)定住者向け地域情報ワンセグ実験,(2)来店者(流入人口)向け店舗情報ワンセグ実験を,2009年4月29日から7月31日までの約3カ月間展開したのである(図1)。期間中は毎日6時~27時まで,エリア限定ワンセグが放送された。

地域住民に向けたエリア限定ワンセグ

 ワンセグといえば一般に携帯電話機向けの放送サービスである。このためエリア限定ワンセグも実験も,これまではイベント会場など,どちらかというと外出先で利用するというイメージのものが多かった。日吉津村における実験内容の一つに,「定住者向け」を挙げるのは非常にユニークといえるだろう。背景には,エリア限定ワンセグは「よりよい地域作りのツールの一つ」と位置づけるという考え方がありそうだ。

 中海テレビ放送は,コミュニティ・チャンネルを六つ持ち運営しており,地域密着型の情報発信に極めて力を入れた取り組みを行っている。六つのチャンネルの内容を紹介すると,「イベントch」「地域ニュース専門ch」「パブリック・アクセスch」「生活情報ch」「各地域専門ch」「県民ch」である。その結果もあり,加入率が約49%(同社のカバー世帯は約9万世帯)と,ほぼ半分の世帯がケーブルテレビに加入するという,地域にとって欠かせないメディアになっている。こういう事業者がエリア限定ワンセグに取り組むというのは,極めて自然な動きでもある。

 先日,我々(日経ニューメディア編集部)が企画するイベントの打ち合わせも兼ねて,中海テレビ放送の専務取締役でSCN社長の高橋孝之氏に話を伺う機会があった。「NHKや民放よりも,地域の情報を知る手段として,中海テレビ放送が定着している」ことに強い誇りを持っていることがわかった。

 ただし,加入率が49%といえども,全住民が放送にリーチできるわけではない。「広く・あまねく」という点では,まだ十分とはいえない。そこで,登場するのが,(1)で紹介した「定住者向け地域情報ワンセグの実験」である。端末に携帯電話機を利用すれば,電波の届く地域であれば情報を届けられる。

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