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 新しいプラットフォームの構築を目指し,情報システムはこれからどのように変わっていくのか。コスト削減の強い要請がある一方で,事業環境の変化への迅速な対応が求められる。クラウドコンピューティングなど新しい仕組みを駆使してシステムのプラットフォームを見直し,この矛盾を突破できないかという模索が始まっている。

 2009年10月28~30日に開催されたITpro EXPO 2009展示会では,有力ベンダー4社から論客を招き,このようなテーマでトークパネルを実施した。パネリストはNTTデータの小林武博氏(システム方式技術ビジネスユニット 第三技術統括部 プラットフォーム技術担当部長),新日鉄ソリューションズの南悦郎氏(技術本部 システム研究開発センター 所長),日本ユニシスの廣田博美氏(ICTサービス本部 サービス商品企画部 部長),野村総合研究所の八木晃二氏(基盤ソリューション事業本部 基盤ソリューション事業一部 部長 クラウド事業推進室 主席)の4人。モデレータは日経コンピュータの森山徹副編集長が務めた。タイトルは「見えてきた3年後の情報システムの姿と課題」である。

ITプラットフォームの現状課題と3年後を見据えた方向性

図1●ITプラットフォームに対する意識
「所有から利用へ」,「垂直から水平へ」と舵が切られ,「統合化」の流れが一段と進む。出典:日経コンピュータ 2009年10月28日号 p.92「次世代IT基盤への意識を調査 企業内クラウドを半数近くが肯定」
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 まず現状認識から。議論の叩き台として森山副編集長が提示したのは,現状と3年後を比べたプラットフォームを巡る3つのトレンドである(図1)。

 一つは「所有から利用へ」。自社でシステムを保有する形態から,クラウドコンピューティングをはじめとするサービスを利用する形態に移行していく傾向がある。二つ目は「垂直から水平へ」。業務ごとに最適化したプラットフォームを作るのではなく業務共通のプラットフォームを作る傾向だ。三つ目が「分散から統合へ」。分散しているサーバーやストレージを一つに統合する傾向である。

写真1●NTTデータの小林武博氏(システム方式技術ビジネスユニット 第三技術統括部 プラットフォーム技術担当部長)
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 これについて小林氏(写真1)は「コスト削減と事業環境への変化の対応を同時に実現したいという要望が顧客から寄せられている。その要望に応えるためには,システムごとに作っていたプラットフォームを統合していく必要がある。それが,これから3年の方向性になる」と語る。

 システムを統合する基盤として,クラウドは有力な候補である。「セールスフォースを利用して2週間で開発したというエコポイントの事例は衝撃的だった」。ただ,すべてをクラウド上に乗せるのは無理がある。エコポイントのようにクラウドが好ましいシステムがある一方で,機密性の高いシステムはそぐわない。

写真2●新日鉄ソリューションズの南悦郎氏(技術本部 システム研究開発センター 所長)
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 南氏(写真2)も「統合は進むと思うが,プラットフォームが一つになることはない」という点では同意見だ。実際の商談では,セールスフォースのようなパブリッククラウドだけでなく,特定企業や自社内でのみ利用するプライベートクラウドに興味を示す大企業も多いという。「従来のオンプレミスにパブリッククラウドやプライベートクラウドが加わり,混在していく。選択肢が増えていく中で,何を選んでいくのかに頭を悩ますのが,これからの3年だという見方である。

写真3●野村総合研究所の八木晃二氏(基盤ソリューション事業本部 基盤ソリューション事業一部 部長 クラウド事業推進室 主席)
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 それに対して八木氏(写真3)は「ビジネスの視点,ユーザーの視点でプラットフォームを見直すことが重要だ」と指摘した。NRIがCIOを対象に実施している「IT活用の実態調査」によると,IT投資の半分がプラットフォームを対象にしたものだという。つまり,プラットフォームを考えることは,企業システムを考えることそのものと言える。

 にもかかわらず,CIOや経営者に「ここ10年間でIT投資の効果に満足しているか」と聞いた質問に対しては,3分の1が「あまり満足していない」と答えている。つまり,プラットフォームはビジネスの要請に十分に応えることができていないのである。「プラットフォームと聞くと,どうしてもハードウエアやOS,ミドルウエア,ネットワークを短期的にどうするかに目が行きがちだが,もっと中長期的にビジネスの要請に応えるにはどうすればよいかという観点で,プラットフォームを見直す必要がある」。