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高速化,オープン/高度化,音声サービスで5社両断

 各社の2009年現在の立ち位置を明確にしたところで,モデレータの松本編集長は個別のテーマをパネリスト達に提示した。(1)データ通信の高速化,(2)端末のオープン化と高度化,(3)音声通話サービスとの連携,という3テーマである。各社で得手・不得手があるそれぞれのテーマにおける討論の過程で,5社を比較する横串しを通そうという試みだ。

写真3●イー・モバイル執行役員副社長の阿部基成氏
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 (1)の高速化は,下り21Mビット/秒のデータ通信サービスを提供中のイー・モバイル阿部氏(写真3)が「モバイルで固定通信の環境に近い環境を提供すべく,定額制と最新技術の導入を進めている。速度が21Mビット/秒まで来たことで,オフィスとモバイルの通信環境が近づき,セキュリティの問題も相まって『ノートPCを貸与しない』という企業のポリシーにも変化を見え始めている」とその効果を説明。ただし「どこでも21Mビット/秒でつながるわけではない。これからも技術で改善を図っていく。また他社と同様にLTEの検証を進めている」とLTEへの移行を明言した。

 この10月に双方向20Mビット/秒のWILLCOM CORE XGPの提供を始めたウィルコムの大川氏は,「アップリンクが速いのが特徴」とする。「実効速度で下りが13.5Mビット/秒,上りが9.08Mビット/秒は出る。しかもRTT(パケットの往復時間)はHSPAの100~200ミリ秒程度に対し,XGPでは30ミリ秒程度とレスポンスが良い」(大川氏)とマイクロセルであるXGPの利点を強調した。これらの特長を生かして,「高画質のコンテンツ,高品質の情報発信という双方向性をどう活用するかが鍵」と大川氏はみる。

 NTTドコモの中西氏は「7.2Mビット/秒のHSDPAエリアの人口カバー率は100%。これに満足することなく,2010年度のLTE展開に向け準備を進めている」とコメント。アプリケーションとしては「まずはデータ通信で高速性を感じてもらおうと準備を進めている。最近は“動画のドコモ”という路線を打ち出したことで,動画を活用したサービスを提供している。LTEはそのためにも大切なインフラ。既存網のエリア品質の向上と合わせて実施していく」という。

 モデレータの松本編集長が「NTTドコモは世界的に先頭集団と認識している」と水を向けると,中西氏は「LTEはNTTドコモだけで突出するわけではない」とコメント。「現在の3G網を導入したときに,色々な意見があった」とFOMA立ち上がりの苦労をふまえ「経済性や品質の面を考えて,日本だけでなく世界のオペレータと連携を取りながらLTEを導入していきたい」とした。

 KDDI有泉氏は,最大40Mビット/秒のモバイルWiMAXサービスを展開するグループ会社UQコミュニケーションズを前面に押し出し,同社との補完関係を強調。「UQ WiMAXは3Gと違い,はじめからデータ通信に特化したサービス。エリアと速度の“メディア・ダイバーシティ”を実現する第1段の施策として,WiMAXとCDMAのハイブリッド端末を来年に向けて発売する」とした。

 ソフトバンクモバイルの安川氏は「2010年まではHSDPAで7.2Mビット/秒,2011年にはDC-HSDPA(Dual Cell-HSDPA)で43.2Mビット/秒,2013年にLTEで100Mビット/秒」とLTE導入に向けたロードマップを提示。移動体通信以外では,「ソフトバンクは元々ブロードバンド事業において利用者としての視点が強い会社。公衆無線LANサービスなど,利用者からみて高速な実効速度が得られるエリアを広げていきたい」とした。