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by Gartner
バル・スリバー リサーチ グループVP
山野井 聡 リサーチグループVP

 顧客の思考や行動、物事の変化には一定の「パターン」が潜んでいる。しかし、「パターン」を構成する情報は、いまや世界に満ちあふれている。我々が企業競争で勝ち残りたければ、膨大な情報のなかから「勝ちパターン」を示すシグナルを探し出し、他社に先駆け行動に移す必要がある。「パターン・ベースト・ストラテジー(PBS)」とは、このように市場に存在するパターンを発見してモデル化し、自社のSWOT(強み・弱み・機会・脅威)を把握しながら戦略を立案することを指す。

 従来のように何か経営変化が発生した「後に」できる限り迅速に戦略を適応させる受動的なアプローチでは、もはや十分ではない。企業に求められるのは、変化の「兆し」を能動的に探しだすことだ。つまり、PBSの特徴は、探索(Seek)、モデル化(Model)、適応(Adapt)という連続したサイクルによって成り立つ。

Seek:今までのやり方を超えた新しい手法を探しだす

 企業やITリーダーは従来、伝統的で構造化されたデータソースからもたらされる情報に重きを置きがちだった。すでに知っている内容を補強し、現在の戦略決定が間違っていないかを検証することが主だった。

 しかし、経営環境の確実性が乏しくなるほど、企業の外にある様々なシグナルをリアルタイムに感知し、変化を見極めることが不可欠である。

 つまり、企業はこれまでの“情報サイロ”を解体し、既存/新規の情報ソースをまたいで、能動的に兆しを探し出す必要がある。

Model:パターン分析のためにモデル化を行う

 モデル化の目的は、パターンのインパクトを数字としてとらえることによって、どのパターンが企業に素晴らしい成長機会や逆にリスクをもたらすのかを明らかにすることである。

 発見した新パターンに対し、企業やITリーダーは、潜在的な重要性や企業戦略や経営に与えるインパクトなどを議論する「シナリオプランニング」のような協業的プロセスを用いる。モデルを使ったシナリオプランニングは、事実に基づいた意思決定をしたり、結果の透明性を向上させたりする上で重要である。

Adapt:企業の成長のために適応する

 変化のパターンを識別し、最も重要なパターンを選んだとしても、それを企業の業績に直結させなければ意味がない。企業やITリーダーは戦略や企業運営、社員の態度などを、決断力をもって新しいパターンに適合させる必要がある。適応行動は、結果にフォーカスして、継続的かつ一貫的に行う必要がある。

 テクノロジという観点では、PBSは決して新奇なものではなく、既存のテクノロジが多く活用できる。例えばそれは、ビジネスインテリジェンス(BI)やルール・ベース・エンジン、パフォーマンスマネジメント、サービス指向ア ーキテクチャ(SOA)、ビジネスプロセス・マネジメント(BPM)、レコメンドエンジンなどである。

 PBSのよい見本が、米アマゾン・ドット・コムや米ネットフリックス(オンラインDVDレンタルサービス)に見られる「推奨商品エンジン」の導入である。両社は顧客による商品閲覧や購入の態度から新しいパターンを見つけ出した。

 そして、顧客をより的確な商品のページへ導くために、顧客の行動モデルを動的に進化させることで、プロモーション手法の最適化を図った。この結果、「ついで買い」を増やして収益を増加させるとともに、顧客ロイヤリティも高めることに成功した。

 これらPBSの事例で重視すべき点は、様々な適応行動の結果もまた、ひとつのパターンとしてフィードバックされ、次の適応行動を導き出すという「正」の連鎖反応が実現されたことである。