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 データセンターでは今後,日常的な運用監視を行っている担当者やIT部門だけでなく,他の部門とのコミュニケーションがいかに大切かを意識する局面が増えてくる。特に物理インフラにおいては,IT管理者とファシリティ管理者との責任の境界が明確でないため,両者の隙間に落ちた管理要素でトラブルが発生したときが問題になる。つまり,IT担当者とファシリティ担当者で情報を乖離(かいり)させてはいけないのだ。

情報の乖離でシステム構築が遅れる

 20~30ラック程度の小規模なデータセンターの場合,そもそもファシリティ管理者すらおらず,IT管理者が外部の業者に問い合わせて判断したり,自身の知識で電力や冷却に関して判断したりする場合が多い。しかし,それ以上の規模になると,IT管理者とファシリティ管理者の間で最新の情報や今後の計画についてやり取りする機会が減ることが少なくない。

 例えば,IT管理者が新システム構築のために,新たなIT機器を導入するケースがある。このとき,必要な電源や空調が十分足りるかをファシリティ管理者に検討してもらう必要があるが,ファシリティ管理者が現状調査の作業で時間をとられると,導入の判断ができず,結局システムの構築そのものが遅れてしまう可能性がある。

 さらに,今後は設備に影響を与えるIT機器,例えばブレードサーバーといった高密度なIT機器の導入が増えてくる。これまでIT管理者に任されていたラック内のIT機器搭載作業も,なるべく早い段階でファシリティ管理者を巻き込み,情報を正確にフィードバックする必要があるだろう。

 一口に新たなサーバーを導入するといっても,その影響範囲はさまざまだ。例えば図1に示すように単一のIT機器の導入が与える物理インフラへの影響は,他のIT機器に対しても必ずある。IT管理者とファシリティ管理者間で,情報不足や最新の環境情報が保たれていないと,十分な検討が行われないまま導入が進められてしまうリスクがある。

図1●サーバーの増設で考慮すべきこと
図1●サーバーの増設で考慮すべきこと

三つのタスクをPDCAで管理する

 IT管理者とファシリティ管理者の間にある,情報の乖離(かいり)を防ぐ管理要素としてどんなことがあるか。例えば,現状の物理インフラ環境,ラックのどの位置にIT機器が設置されているかの情報,といったことが挙げられる。これらの情報を常に最新に保ち,設計に対して正確な導入が行われていることを常に管理する必要がある。

 新たなIT機器の導入を進めるときは,ヘルプ・デスクやサービス・デスクを集約し,「設計タスク」「監視タスク」「運用タスク」といった三つの視点から,一連の作業をPDCAサイクルで管理するといいだろう(図2)。

図2●物理インフラの管理に求められる三つのタスク
図2●物理インフラの管理に求められる三つのタスク

 IT部門とファシリティ部門が縦割りのままで互いの情報を共有できないと,グリーンITへの対応も難しくなる。消費電力削減や高効率化の意識を共有し,今後のデータセンターのあるべき姿を追求するには,上層部への働きかけと部門を越えたシステムの構築の検討が必要だ。


エーピーシー・ジャパン ビジネス・デベロップメント部/サービス事業部 ソリューションエンジニアリング部
UPSや冷却装置,ラック,環境監視システムを提供するエーピーシー・ジャパンにおいて,データセンターで利用する製品の提案や設計,販売を推進している事業部。ラックの設置や運用ノウハウを持ったメンバーが多く所属する。