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 前回に引き続き,RFPプロジェクトのスケジュール遅延を招く要因とその対策について説明する。

(2)社内(顧客)で発生する要因(図7)

図7●スケジュール遅延を招く要因:社内(顧客)
図7●スケジュール遅延を招く要因:社内(顧客)

[要因]エンドユーザーに協力してもらえない
 「忙しい」「面倒くさい」「システムには期待していない」とエンドユーザーから散々に言われ,ヒアリングに気持ち良く協力してもらえないこともしばしばある。

[対策]ユーザーの立場で考える
 エンドユーザーが非協力という問題には原因がいろいろとあるので,対策もなかなか一筋縄ではいかない。しかし「なぜ消極的なのか?」とエンドユーザーの立場で考えると,突破口は見えてくる。エンドユーザーが抱きがちな気持ちとしては「時間を取られて,自分の仕事に影響が出ると嫌だ」「システムの難しいことをいきなり聞かれても無理」「いろいろと意見を言ってもフィードバックがなく,むなしい」といったことがある。これらの声は,聞き手,つまりRFP作成チームの配慮が不足していることが原因である。

 1回のインタビューは1時間以内,ブレーン・ストーミングでも2時間以内と短い時間でやるようにする。漠然と質問するのではなく,あらかじめドキュメント調査で予習をしておき,回答の選択肢を用意しておく。RFPの業務要求や要件定義の結果を,きちんと「これは採用,これは予算の制約で不採用」というようにフィードバックする。これらの気配りをすることが,結局はエンドユーザーの協力を得るための最も効果的な方法である。

[要因]決裁に時間がかかる
 繰り返し述べてきたことだが,最終決裁である役員会の開催日程をきちんと把握しておかないと,思わぬスケジュール変更を招くことがある。筆者はこれまで多くのクライアント先でベンダー選定を行ってきたが,意外と手強いのがこの役員会である。極論すればRFP作成チームの思惑通りのスケジュールで進むことは珍しい。会社によって役員会の開催頻度は異なるが,毎週開催と頻度が高い会社でも,ほかの優先議題があるとか,関連部署の役員が出張で不在のため諮れない,といったことが起きる。

[対策]役員会のタイミングを押さえる
 これはRFP作成チームではいかんともしがたい問題であるが,それでも善処は可能だ。とにかく役員会のスケジュールを頭に入れること,それも決裁依頼の間際ではなく,キックオフなど早い時点からだ。プロジェクトオーナーを動かして事前に役員会メンバーに根回し押しておくこと,役員会の場に提示できる「可視化された,分かり易く枚数の少ない資料」を早めに用意するなどの工夫をしよう。

(3)ベンダーで発生する要因(図8)

図8●スケジュール遅延を招く要因:ベンダー
図8●スケジュール遅延を招く要因:ベンダー

[要因]ベンダーが社内事情を優先する
 RFIの回答期限や提案書の期限に対して,ベンダーから「社内のレビューの時間が取れないので延期してほしい」というような泣き言が入り,それを受け入れることでスケジュールが遅れてしまう。

[対策]無理なスケジュールを提示しない
 まずはベンダーに対して,無理なスケジュールを提示しないように,きちんと配慮することが重要である。適切あるいは少々タイトくらいであれば,大抵のベンダーは対応してくる。もし4社に対して依頼をして3社が文句を言ってきたらスケジュールを見直そう。逆に3社が何も言ってこなければ問題ない。泣き言を言ってきたベンダーは迷うことなく候補から外すべきである。

[要因]ぞろぞろと大勢で来る
 ベンダーによっては面談のときやRFP提示の場に,上司から若手SEまでぞろぞろと大挙して来たがる会社もある。しかし,大勢となるとスケジュール調整も大変で,指定した日時を変更してほしいと言ってくる場合がある。

[対策]人数を指定する
 面談では人数を指定しよう。面談では3人,RFP提示やプレゼンテーションでも5人程度に絞るほうがよい。大抵の場合,大勢来ても話すのは3人程度であり,残りはひと言も発しないことが多い。ひと言も話さない連中のために,スケジュール調整や変更の労を取るのは無駄ではないだろうか。筆者の経験からいうと,大勢で来てしゃべらないメンバーが多いベンダーは提案に自信がない場合が多く,大抵の場合は落選するものだ。

永井 昭弘(ながい あきひろ)
1963年東京都出身。イントリーグ代表取締役社長兼CEO,NPO法人全国異業種グループネットワークフォーラム(INF)副理事長。日本IBMの金融担当SEを経て,ベンチャー系ITコンサルのイントリーグに参画,96年社長に就任。多数のIT案件のコーディネーションおよびコンサルティング,RFP作成支援などを手掛ける。著書に「RFP&提案書完全マニュアル」(日経BP社)。