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 日経NETWORK 2006年1月号の記事をそのまま掲載しています。執筆時の情報に基づいており現在は状況が若干変わっていますが,ネットワーク図の書き方の基本は変わりません。最新状況は本サイトで更新していく予定です。

 わかりやすいネットワーク図を作るには,今あるネットワークを忠実に図にするだけでは十分ではない。場合によっては,ネットワーク図をわかりやすくするためにネットワークそのものを直すくらいの心構えが必要になる。

 本末転倒のようだが,そうではない。「きれいな図にできないネットワークはダメ。運用管理で大きなトラブルを招くことがある」(インターネットイニシアティブ ソリューション技術部の宮本外英さん)。きちんとしたルールに従って作ったネットワークは,ネットワーク図にしやすいし,運用管理も楽になる。

ルールを作って徹底する

図1●ルールを決めて逸脱は明示する
図1●ルールを決めて逸脱は明示する
ルールを決めれば図は見やすく,運用管理もしやすくなる。例えばLANスイッチの設定を共通にする。やむを得ず逸脱するときは明記しておく。
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 具体例で見てみよう。例えば,レイヤー3スイッチの配下に多数のLANスイッチが存在する場合(図1の(1))。LANスイッチのポート1番は,レイヤー3スイッチ接続用と決めておく。こうすればトラブルのときにいちいち調べなくて済むし,物理構成図の中でも,まとめて1カ所に書いておける。

 ところが,LANスイッチによってレイヤー3スイッチ用のポートが違うとこうはいかない。物理構成図に1台ずつ情報を書き込むことになる。運用管理の作業のときにミスも起こす可能性がある。

 論理構成図でも同じことがいえる。例えば,サブネット・マスク長は24ビットと決めておく。同時に,サブネットの出入り口になるレイヤー3スイッチのIPアドレスは,どんなサブネットに対しても「xxx.xxx.xxx.1」にすると決める。そうすれば,サブネットは例えば「192.168.1」といったように「xxx.xxx.xxx」の部分だけで表現できる。レイヤー3スイッチのIPアドレスは「アドレス:1」といったようにまとめて書ける。組み合わせれば,「192.168.1」のサブネットのレイヤー3スイッチのIPアドレスは「192.168.1.1」とわかる。

 ネットワークのトポロジー(注1)やポリシー(注2)を反映したルールも決めておくといい。例えばサブネットは,サーバー,バックボーン,クライアントの3種類に分け,関係のないパソコンやサーバーをつながないといったことだ。

ルールとの違いを記録する

 ただしルールには例外はつきもの。現実にネットワークを運用していくと,わかっていながらルールを守れないこともある。例えば,LANスイッチはポート1番をレイヤー3スイッチ接続用にすると決めているが,たまたまそのポートだけが壊れてしまったというときだ。

 そんなときに大事なのは,ルールから逸脱していることをネットワーク図上に明記しておくこと(図1の(2))。ネットワーク図を改版して,日付とともに逸脱の内容と理由を書いておけば,将来LANスイッチを交換したときに,ネットワークを本来の姿に戻せる。

 ネットワーク図の改版は後回しになりがち。でも,「先にネットワーク図を改版すれば,作業内容のチェックにも役立つ」(マクニカの一丸さん)。絶対に避けなければならないのは,ネットワーク図を改版しないまま放っておくこと。ネットワーク図と現実が食い違うと,役に立たなくなってしまう。

 ネットワーク図は,ネットワークの理想像や,進むべき方向も示すもの。ネットワーク図をわかりやすく表記し,常に最新の状態に保っておくことが,ネットワークをよくする第一歩なのだ。