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 バングラデシュの通信事業者bracNetが、WiMAX技術を使った通信インフラの整備を急いでいる。携帯電話を使ったデータ通信は可能なものの、より高速なネットワークを導入することで公共サービスや教育などの高度化を進める。そのため、KDDIと株主間契約書、株式引受契約書を2009年11月12日に締結。日本で専攻したWiMAX通信サービスのノウハウ提供を受ける。KDDIも、これを足がかりに、アジアやアフリカの開発途上国への進出を図る。

写真1●e-hutの外観
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写真2●e-hutの内部の様子
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 開発途上国における通信インフラの強化は、その国の経済成長や国民の生活水準の向上において大きな意味を持つ。電話はもちろん、電気や交通網、医療・行政サービスなどが整っていない農村では、これらの代替インフラとなりつつあるからだ。

 bracNetはWiMAXを使った通信サービスをバングラデシュ国内で提供する事業者である。特に力を入れているのは「e-hut」と呼ばれるサービス拠点を利用した、パソコンの利用サービスである。bracNetはe-hutを、都市部や農村など110カ所に設置済みだ(写真1)。

 e-hutの内部は、日本のインターネットカフェに近い(写真2)。パソコン数台のほか、プリンタやデジカメ、Webカメラなども利用できる。利用時間に応じて課金する方式である。

 サービスの対象は主に、パソコンを所有していない貧困層だ。ビジネス上の取引先相手とのやり取りや、出稼ぎに出ている家族との連絡、農作業に役立つ情報の検索、行政サービスの利用申し込みなど、利用目的はさまざまである。履歴書を作成する利用者にデジタルカメラを貸し出すe-hutもある。

社会貢献策として無線インフラを整備

 bracNetがバングラデシュで提供するサービスは、社会貢献の意味合いが強い。bracNetの主要株主である非営利組織「BRAC」は、世界最大のNGO。貧困層向けの無担保融資サービス「マイクロファイナンス」を手掛けていることでも知られる。別の主要株主である米デフタ・パートナーズは、技術による市場醸成を通じて社会貢献することを目指す投資会社だ。

 e-hutのように、開発途上国で貧困層向けの情報サービスを提供するKIOSK拠点は「テレセンター」と呼ばれる。通信サービスを利用することが知識レベルや生活水準を向上させることに役立つとの考えから、ほかの開発途上国でも設置の動きがある。

 ただし、テレセンターの設置は容易ではない。バングラデシュのような開発途上国の多くは、固定電話の回線さえ整備されていないからだ。インターネットに接続するための通信インフラをどのように作り上げるかが、高いハードルになる。

 開発途上国では携帯電話のサービスは、急速に普及している。固定回線の整備よりも、携帯電話が先に普及した。先進国とは通信インフラの整備順が逆転した状況だ。バングラデシュも例外ではない。ただしサービスの中心は音声通話。データ通信は低速で、パソコンを使った通信は現実的には難しく、テレセンターには向かない。