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◆今回の注目NEWS◆

“e政府”を考える「電子経済産業省アイディアボックス」がオープン(RBB TODAY、10月14日)

【ニュースの概要】経済産業省は、電子政府の取組に関して、情報交換・意見交換ができるサイト「電子経済産業省アイディアボックス」を試験的に開設した。「アイディアボックス」は、電子政府の取組について、「ITによる新しい行政サービス」「よりよいホームページのあり方」「行政情報のオープン化」などのテーマで、国民から意見を募集するものだ。


◆このNEWSのツボ◆

 経済産業省が、高機能掲示板を活用して、電子政府に関する意見募集や情報交換の実験を開始した。この仕組みは、オバマ大統領の政権移行チームが、公式サイト「CHANGE.GOV」で政策に関するアイデアを吸い上げるために導入したのと同様のもので、サイト構築にあたって、「クラウド・コンピューティング」の技術を利用しているということでも注目されている。

 このサイトでは、「電子政府」や「行政情報のオープン化」「行政のホームページ」などについて、その改善のための意見投稿や情報交換などを広く募集し、また、投稿者同士の意見交換もできるようになっている。

 サイトの閲覧は自由にできるが、新規の投稿やコメントを行うには、利用者登録が必要であるが、これは簡単にできる。実際にサイトを開いてみると、投稿者の中には、電子行政関係の仕事に携わっている人も多いのか、かなり中身の濃い議論が多い。「ワンストップ化の推進に関する要望」「住民票をネット取得の要望」などについて多くの意見が寄せられている。

 今回の試みは、あくまで「試験公開」ということで、1カ月間(11月14日まで)の期間限定であるが、こうした試み自体は、行政推進に当たって、広く知見を集めるという意味で、意欲的なものとして評価できるのではないだろうか。

 ただ、いくつかの課題もあるように思われる。たとえば、「こうして市民・国民からの意見・情報を収集して、政府はどれにどう応えていくのか」ということは、まだ明らかにされていないという点だ。ここに投稿している人々の意見は、それなりに傾聴すべきものが多いようだし、今の段階では平均で1日1万を超えるページビューがあるようだ。しかし、政府として、そうした声・意見に対してどういうアクションをとるのか、あるいは取らないのか、それとも情報収集したら終わりなのか…という点が見えてこないと、時間の経過とともに人々の関心は薄れ、こうしたサイトも立ち枯れていくということになりかねない。

 もう一つは、ここで寄せられている声を見ると、相変わらず「ネットでのワンストップ化を推進」「住民票はネットで取れないのか」「行政の申請などはまだまだ紙が中心である」など、電子政府の取り組みが始まったころから言われているような課題が主流であるという点である。こうした声が多いということは、結局、まだまだ電子政府化が人口に膾炙(かいしゃ)していないということだし、あるいは、手続き的に使いにくいということなのだろう。

 せっかく、新しい取り組みを始めたのだから、この「試験結果」が有効に活用されていくことを強く期待したい。

安延 申(やすのべ・しん)
フューチャーアーキテクト社長/COO,
スタンフォード日本センター理事
安延申

通商産業省(現 経済産業省)に勤務後,コンサルティング会社ヤス・クリエイトを興す。現在はフューチャーアーキテクト社長/COO,スタンフォード日本センター理事など,政策支援から経営やIT戦略のコンサルティングまで幅広い領域で活動する。