ネットワーク分野における2009年のアクセスランキングは、2008年に引き続きiPhoneに関する記事が多くランクインした。iPhoneの記事とともに、2009年7月に国内でサービスが始まった「モバイルWiMAX」や、米グーグルの携帯端末向けソフトウエア基盤「Android」といったモバイルに関する記事が上位を占めた。
iPhoneで何ができる? 何が変わる?
2009年に入って国内での利用者が増えてきた米アップルの「iPhone」。2009年のランキングを見ると、5本の記事がランクインした。2位にランクインした「検証!iPhoneの真価◆iPhoneから見る世界のモバイル事情」は、世界のiPhone事情とiPhoneの事業モデルを解剖した連載記事である。その中で「NTTドコモのFOMA用SIMカードをiPhone 3Gに挿入するとどうなる?」という検証記事に注目が集まった。
また、「iPhoneショック2」の連載記事が3位、12位、18位にランクインした。こちらは、iPhoneがもたらすであろう未来を予想し、ケータイビジネス、アプリ開発、メディア、個人のコミュニケーションに与えるインパクトを解説した記事である。
iPhone関連のニュースとしては、iPhone 3G Sをインターネット接続時のモデムとして利用するテザリング機能が国内で利用できない理由についての記事が11位にランクインした。ソフトバンクの孫正義社長が、「テザリング機能を利用可能にしたら、定額料金では成り立たない」と悩みを吐露した。
ランクインしたiPhoneの記事を見ると、iPhoneで「何ができる?」「何が変わる?」という疑問に答える記事であることがわかる。iPhoneを購入する際の参考にしたいというだけでなく、iPhoneがもたらすビジネスの変化をつかみたいという読者のニーズが見て取れる。
WiMAXの実力に注目集まる、2010年はAndroid旋風が予想
モバイルに関するそのほかの話題としては、UQコミュニケーションズが2009年7月に本サービスを開始したモバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」がある。東京の各所で速度を検証した「最速は池袋?東京の名所でWiMAXをテスト」(5位)と、多面的にサービスを分析した「モバイルWiMAXサービスは“買い”か?」(6位)の2本がランクインした。下り最大40Mビット/秒をうたうサービスの実力に注目が集まった結果と言えるだろう。また、米グーグルの携帯端末向けソフトウエア基盤「Android」に関する記事が7位にランクインした。2009年中旬以降、「ドコモがGoogleのAndroidケータイなど夏モデル18機種を発表」(記事)や「ソニー・エリクソンが初のAndroidケータイを世界同時発表、顔認識機能搭載」(記事)など、話題が増えてきた。2009年11月にはAndroidアプリケーションを募集・表彰する「Android Application Award 2010 Spring」が始まるなど、2010年には更なる盛り上がりが予想される。
また、今回ランキングには入らなかったが、モバイルに関する話題としては、ウィルコムが2009年10月に開始した次世代PHSサービス「WILLCOM CORE XGP」もある(関連記事)。上り下りの両方とも最大20Mビット/秒の通信を実現するのが特徴だ。2010年4月には料金を徴収する一般サービスが始まる予定である。
注目されたキーワード「クラウド」「ダウンロード違法化」
次に、ランクインしたキーワード解説記事を見てみよう。2009年は、「クラウド・コンピューティング」(4位)と「ダウンロード違法化」(17位)という二つのキーワードがランクインした。2009年は「クラウド」と名の付くサービスが続々登場した年になった。ただ、これらのニュースを目にして「クラウドの意味や定義がよくわからない」と思った読者も多かったに違いない。キーワード記事は、こうした読者の疑問に答える記事としてアクセス数を伸ばしたと思われる。
一方の「ダウンロード違法化」は、権利者の許可なく違法にアップロードされたものであると知りながらダウンロードする行為を違法とする法律のこと。2010年1月に改正著作権法として施行される予定である(関連記事)。こちらは、身近な話題として注目が集まったキーワードと言える。
実務に便利なコマンドや配線ノウハウ
ランクインした記事の中から、実務に役立つ記事も見てみよう。まず、ネットワークの管理・運用に便利なコマンドを紹介した「管理者必見! ネットワーク・コマンド集」から2本がランクインした。「net useコマンド」(1位)と「netsh interface ipコマンド」(15位)である。いずれも、Windowsネットワークを管理・運用する際に便利なコマンドだ。
net useはネットワーク上の共有リソースにアクセスするためのコマンドである。ネットワーク・ドライブをローカル・ドライブに割り当てたり、ログオンし直すことなく別のユーザー名で共有フォルダにアクセスしたりできる(関連記事)。一方のnetsh interface ipは、IPアドレスなどのアドレス情報を設定するコマンドである。ネットワーク環境に応じて設定を切り替えたりできる(関連記事)。
また、「ストレートのLANケーブルをクロス型に替えてつないだら?」という記事も16位にランクインした。LANケーブルを配線するとき、ストレート・ケーブルとクロス・ケーブルのどちらを使えばいいかや、LANスイッチのどこのポートにケーブルを挿せばいいのかわからなくなることはよくある。ランキングした記事は、こうした疑問に答えてくれる内容になっている。
これらのノウハウ記事は、現場で活躍する企業のネットワーク管理者が、日ごろの運用・管理で必要になって閲覧した結果、アクセス数が伸びたと思われる。同じ悩みを抱えるネットワーク管理者は多いはず。いざというときのためにブックマークしておくのもいいだろう。