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 「製品を比較するサービスを提供しているうちがやらなくてどうするんだ」─。購買支援サイト「価格.com」を運営するカカクコムの社内で、エコポイント制度に対応した新サービス「エコポイント特集」の企画が持ち上がったのは2009年4月中旬のことだ。折しも政府が4月10日に追加経済対策の一環としてエコポイント制度の構想を発表したばかりのタイミングだった。

購買支援サイト「価格.com」
購買支援サイト「価格.com」
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 しかし、この企画が持ち上がった時期でサービスを開始するには、エコポイント制度に関する情報があまりにも不足していた。政府が4月21日にエコポイント制度の概要と実施スケジュールを発表し、同制度が5月15日にスタートするということがようやく分かった程度。この時点でもポイント付与数などの詳細な内容はまだ明らかになっていなかった。

 エコポイント制度対応の新サービス開発プロジェクトは、8人のメンバーで始まった。新サービスの柱は大きく二つあった。一つはエコポイントに関する情報提供である。政府が発表したばかりだったので「あまりにも情報量が少なく、消費者の混乱が予想されたために情報をまとめて提供した」(カカクコムの鎌田剛執行役員メディアクリエイティブ部長)。もう一つはエコポイント対象製品を簡単に検索することができる機能の提供である。これは価格.comの“王道”とも言えるものだ。

 プロジェクトは急ピッチで進み、企画が始まってから約2週間後の5月1日にパソコン版と携帯電話版の両方のサービスを無事に開始できた。

製品DBの整備に注力

 エコポイント特集の目玉の機能であるエコポイント対象製品の検索機能は、付与ポイントごとの商品の一覧を掲載するもの。例えば、液晶テレビだとエコポイント3万6000点が付与される46型以上の製品を表示する。もちろん、すべてのエコポイント対象製品を一度に表示することも可能だ。

 個々の商品をクリックすると、液晶テレビの画面サイズや画素数、フルハイビジョン対応などのスペックの一覧と同時にエコポイントや省エネ性能の情報も表示される。

 エコポイント対象製品の検索機能は、実は4月に開始した「省エネ家電検索機能」を応用した。この機能はエコ製品に特化した「価格.comエコ」で提供するもの。省エネルギーセンターが公開する8種類の家電製品のデータと価格.comの製品データベースとをマッチングさせて、エコ商品を検索することができる。

 これをエコポイント制度に対応させるために、付与されるエコポイント数といった情報を追加するなど製品データベースの一部を改修しなければならなかった。しかし、データベースの改修についてはスムーズに進み大きな負担とはならなかったという。

エコポイント制度に合わせて開始した「エコポイント特集」
エコポイント制度に合わせて開始した「エコポイント特集」
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 「システム基盤が整っていたからこそ迅速にサービスを開始できた。3、4年前だったらこのスピードは実現できなかっただろう」。エコポイント特集のプロジェクトのメンバーだった価格.com本部ショッピングメディア部の浅川修平アシスタントマネージャーは振り返る。同社は価格.comの製品データベースの整理作業に注力してきた。具体的には、製品スペックを登録するデータベースのフォーマットの共通化を進め、各項目の並び順をそろえた。これによって、新たなサービスを開始する際に製品スペックのデータを取り出したり、追加したりすることが容易になる。フォーマットが異なっていると、各データベースごとにデータの取り出しや追加の機能を開発しなければならないが、こうした開発工数を削減できるようになる。

 エコポイント特集を2週間で立ち上げられたのも、これまでに製品データベースの整備に力を入れてきたことの成果と言っても過言ではない。エコポイント特集では、エコポイント対象の有無とエコポイント数の情報を新たに追加するが、データベースが整備されていたおかげでスムーズに追加できたという。エコポイント特集を開始後も、一部の製品で省エネ達成度の基準が変更になったが、こうした変化にも柔軟に対応できた。

利用者は1年で37%増加

 エコポイント特集は、政府がエコポイントの詳細を発表した5月12日にアクセスが急増。サービスを開始した1日から11日までの間の合計PV(ページビュー)の約2倍のPVをこの日1日だけで記録したという。

 鎌田執行役員は、新サービスや新機能を追加するのは「基本的には利用者のニーズがきちんとあって、世の中に役立つことが前提」と慎重な姿勢だ。利用者の動向を時間をかけて調査し、ニーズを見極めたうえで新規プロジェクトを検討する。しかし、エコポイント特集のような例外もある。「今回のように時間が限られていたとしても、利用者のメリットを第一に考えて直感的に動くこともある」(鎌田執行役員)。柔軟なサービスや機能追加も、常日ごろのデータベースの整備なくしては実現し得ない。

 新機能や新サービスは価格.comにさらに多くの客を呼び込む。2009年11月末時点の月間利用者数は前年同期比37.9%増の2156万人、月間総PVは同28.6%増の8億1119万PVに達した。