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 クラウド上でのビジネスアプリケーション開発が実際にはどのように変わっていくのか。第1回は、米セールスフォース・ドットコムが提供する「Force.com」とは何かについて、その機能を紹介した。第2回第5回では、Force.comの開発者環境を使って人事管理アプリケーションを開発し、機能強化や既存データのインポート、関数機能などを使ってみた。今回は簡単な承認ワークフローの実装について紹介する。

 なお本連載では、Force.comを気軽に体験していただけるよう、特別に今回使用する組織(サインアップごとに作られるユーザー専用環境)を用意している。ここから是非アクセスし、ここで紹介している設定を体験してほしい。

 2009年も恒例の冬のバージョンアップが滞りなく実施された。開発環境用に提供されているSandboxサービスインスタンスに始まり、3週間をかけて各地域のサービスが週末にバージョンアップされる。ちなみに数年前までは、時間帯は異なるものの一度の週末で一斉にバージョンアップされた。だが最近はシステム規模が大きくなったため、複数の週末をかけて実施されている。

 とはいえ、6万7900社もの顧客が利用するアプリケーションを同時期にバージョンアップするなどは、これまでのクライアントサーバー型システムでは考えられないことだ。バージョンアップのメンテナンスは、データベースのスキーマ変更を伴うためサービスを数時間停止する。だが、その後のパッチリリースについては、複数のアプリケーションサーバーを順次切り離して行うためサービスには全く影響を及ぼさない。ディザスタリカバリーサイトを活用し、バージョンアップ時間を5分に短縮するといった計画も発表されている。

図1●Winter’10版の人事管理アプリケーション
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 日本向けサービスインスタンスの「Winter’10」へのバージョンアップは、通常通りバージョンアップの最終日である10月11日、日曜日の未明に実施された。利用者側ではバージョンアップの準備は不要だったし、その後の作業もなかった。当日の朝、いつものようにログインしたエンドユーザーが「バージョンアップされたのだ」と唯一気づく点は、ロゴの変更ぐらいだろう。本連載で作成してきた人事管理アプリケーションも当然ながら以前と全く同じに動作する(図1)。

 実際には今回のバージョンアップによって、多くの機能が実装されている。Salesforce.com CRMにおいては、見積書の作成機能やキャンペーン管理機能が一段と強化された。プラットフォームであるForce.comでは、大量データの一括データロードなどの性能に関わる強化や、カスタマイズ性の向上を目指した機能強化が施されている。

 バージョンアップ後も、ロゴ以外は何も変わらない。そのため、これらの新機能は、システム管理者が必要な機能を必要なタイミングに有効にして利用すればよい。つまりバージョンアップは一斉に実施されるが、新機能を利用企業各社がリリースするタイミングは、すべて利用者に委ねられている。

図2●管理者向けメニューに追加された新機能設定メニュー
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 従ってシステム管理者向けの設定メニューには、バージョンアップに伴い変更が加わっている。追加されたメニューやオプションには、「新機能!」といったガイドが表示される(図2)。

 こうした配慮は、長年エンタープライズ向けサービスを提供してきたノウハウに基づいている。一般消費者向けサイトのように、バージョンアップのたびに画面のレイアウトがコロコロ変わるようなサービスは、ビジネス用途には不向きだからだ。