PR
Q 数日前から乳房の左下あたりから脇腹にかけてチクチクとした痛みがあります。チクチク感がけっこう強くなってきたので鏡で見たら,帯状に赤い湿疹や水ぶくれが出ています。熱はないのですが,このまま放置していても大丈夫でしょうか。仕事は残業続きで,疲れがたまっています。(女性,37歳,営業)

 痛みと水ぶくれがあることから,左の胸部肋間神経に沿って発症した「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」の可能性が高いようです。

 帯状疱疹は,子供のころにかかった「水ぼうそう」のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因です。大人になってもこのウイルスが神経の中に潜んでいて,本人の体力低下や疾患(糖尿病やガンなど)の悪化に伴って免疫力が低くなると,神経の中のウイルスの増殖を抑制することができなくなり,その結果として起こる病気です。

 質問者の場合は,仕事による疲労や睡眠不足,バランスの悪い食事や運動不足,ストレスの高さなどが重なって,帯状疱疹の発症に至ったのでしょう。

 帯状疱疹は,ウイルスのいる神経に沿って症状が出てくるのが特徴です。一般に帯状疱疹が発症しやすい場所は,頭,顔面,胸,背中,お尻などで,腰や太ももなどの下半身にはあまり発症しません。

 帯状疱疹を発症すると,まず神経の痛みが起こります。質問者のように,神経の痛みは結構ピリピリ感が強いものです。その後,赤い湿疹や小さい丘疹(皮膚の隆起)が現れ,これが小水疱(水ぶくれ)になります。帯状疱疹は子供にも大人にも起こる病気ですが,大人の場合,湿疹や水ぼうそうが現れずに,神経の痛みだけが出ることもあります。

 質問者の場合は,この後も1週間から10日くらいは痛みが強くなり,湿疹や水ぶくれの症状もますます大きくなりますが,通常は,発症して3~4週間すると,痛みもなくなりますし,湿疹や水ぼうそうもかさぶた状態になって元の皮膚状態に徐々に戻っていきます。

 帯状疱疹は,治療しなければ治らない,という病気ではありません。しかし発症期間を短くするために,早々に内科で治療することをお勧めします。早い時期に治療を始めた方が,その分早く治ります。特に顔に帯状疱疹ができたときは,視力に影響を与えたり顔面神経マヒが起こったりすることもあるので,早めの受診が欠かせません。

 帯状疱疹による神経痛は,治った後も後遺症として残る場合があります。早めの治療は,その予防にもなるのです。治療方法としては,抗ウィルス薬の飲み薬・塗り薬を使います。かゆみ止めや痛み止めを使うこともあります。

 帯状疱疹が出ている間は,水ぶくれを破らないように気を付けます。水ぶくれが破れると化膿してしまうからです。基本的に入浴は可能ですが,患部をなるべく清潔に保つことが必要です。

 帯状疱疹は,一般に他人に感染することはありません。このため,通常の生活で特別注意することはありません。質問者も,普段通り仕事をすることができます。

 ただし,先述したように,帯状疱疹が発症したということは疲れや睡眠不足,ストレスなどで体の抵抗力が落ちている証拠です。なるべく休養を取り,栄養と睡眠を十分に取ることが必要です。

浜口伝博
産業医
産業医科大学医学部卒業,専属産業医として東芝,日本IBMに勤務し,産業医活動のほか,健康管理システム開発を手掛ける。2005年9月からハマーコンサルティング代表。日本産業衛生学会理事,日本橋医師会理事,産業医科大学非常勤講師。著書は「健康診断ストラテジー(バイオコミュニケーション,共著)」など多数。日本産業衛生学会認定指導医,労働衛生コンサルタント