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 フレッツ網内で企業の拠点間をPPPトンネルでつなぐ「フレッツVPNシリーズ」は,大きく,フレッツ回線で接続した拠点をセンター側拠点に集約する「センター集約型」と,複数拠点間をメッシュ状につなぐ「CUG(closed user group)型」がある。CUG型の契約数は東西合計で約17万回線。安価なエントリーVPNとして,企業の圧倒的な支持を受けている(図1)。

図1●フレッツVPNシリーズは新旧サービス間の統合を見据えてサービス設計している<br>NTT東西は,企業ユーザーのほとんどに対してフレッツ・VPN ワイドへの移行を促していく計画。
図1●フレッツVPNシリーズは新旧サービス間の統合を見据えてサービス設計している
NTT東西は,企業ユーザーのほとんどに対してフレッツ・VPN ワイドへの移行を促していく計画。
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 NGNが登場する前のフレッツVPNシリーズは,拠点数ごとあるいはセンター側に使える回線種類ごとに多数のメニューを東西が別々に設けたため分かりにくかった。これをNGNでは,東西ともにセンター型とCUG型の2サービスに集約。特にCUG型の「フレッツ・VPN ワイド」は,センター回線を接続するオプションを用意し,企業向けの万能型サービスに設計し直した。

 NTT東西はフレッツ・サービスのNGNへの完全移行に備え,既存のVPNユーザーをこの二つのNGN版VPNサービスに自然移行していく施策を採っている。機能面では,フレッツ 光ネクスト以外のフレッツ回線からでもNGN版VPNに参加できるようにした。最低1拠点をフレッツ 光ネクスト回線で代表者登録すれば,それ以外の回線を使ってもVPNを構築できる。ただ今のところこの機能を提供しているのはNTT東日本だけ。NTT西日本も,「早期に対応できるよう準備を進めている」としている。

 その一方で,逆にフレッツ 光ネクスト回線からNGNではないフレッツVPNサービスへの参加はNTT東西ともに対応していない。拠点の追加や移転などで,1カ所でもフレッツ 光ネクスト回線を引いた場合,NGN版VPNに契約し直してグループを再構成しなくてはならない。

低額のエントリー・メニューは整理の方向

 料金面では,NGN版VPNを割安になるように料金設定して移行を図る戦略だ。例えばフレッツ・VPN ワイドの料金は,1拠点当たり月額1890円で1000拠点まで構成可能としている。

 しかし,NGN版VPNへの移行施策のために,旧世代網で提供していた格安メニューは整理する方向だ。例えば,NTT東日本には,1拠点当たり月額735円で接続できるCUG型の「フレッツ・グループアクセス」のライト・プランがあったが,新規加入を2009年4月に停止した。

 フレッツ・VPN ワイドには,東西をまたいだVPNをワンストップで構成できるオプションもある。NGN版VPNで初めて可能にした機能だ。ただし,この「東西間接続オプション」の料金体系は利点を生かせる適用例が限られる(図2)。

図2●フレッツ・VPN ワイドの東西間接続は用途が限定的<br>東西間接続料金は拠点数に比例して上昇するので,多くの拠点が参加するVPNでは割高になる場合がある。
図2●フレッツ・VPN ワイドの東西間接続は用途が限定的
東西間接続料金は拠点数に比例して上昇するので,多くの拠点が参加するVPNでは割高になる場合がある。
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 まず東と西の両区間に料金が発生し,それが東西それぞれの拠点数に応じて加算される。例えば,東日本に多数の拠点があるケースで,西日本の拠点は主に東日本のセンター拠点に通信するといった構成だと,ほとんど使わない東から西への通信区間の負担に無駄が生じる。

 フレッツVPNの将来の課題としては,フレッツ・ADSLなどメタル回線だけで構成しているVPN拠点をどうするか,である。NGN版VPNに移行しようにも,アクセス回線に光回線を使わない企業は代表者回線を登録できず,移行手段がない。これは,メタル回線経由でNGNに接続できるようにするかという,NTT全体の問題と密接にからむ。「この問題は,持ち株会社が公表する概括的展望でメタル回線の将来をどう描くか次第だろう」(井上取締役)としている。今のところ,方針は不明だ。