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 『日経情報ストラテジー』は2010年1月号で、「ムダ取りの秘訣 50事例集」というタイトルの57ページに及ぶ総力特集を掲載した。新年号の特集企画が「コスト削減」とは、いささか華やかさに欠けるかもしれない。それを承知のうえでテーマにしたのは、2010年に企業はさらなる経営体質の強化が必要になるとみられるからだ。

 デフレの進展に円高と、景気が上向く兆しは見えず、むしろ「二番底」がますます現実味を帯びてきた。2008年のリーマンショック以降、収益を確保するために多くの企業が原材料費や販売管理費などのコスト削減に取り組んだが、さらなるコスト改革に迫られるのは必至だ。

 それではなぜ、単純明快に「コスト削減」とタイトルにうたわず、「ムダ取りの秘訣」としたのか。ここに本誌なりの意図があるからだ。「一律○%削減」といったコスト削減策は短期的には効果を生みやすいが、無理なダイエットにも似ている。長続きはしにくいし、現場の士気の低下などによってかえって経営がガタガタになり、“リバウンド”を起こしかねない。

 これに対して、ムダ取りは体質改善に基づく真のダイエットともいえる。価値を生まない余分な工程や作業といったムダを取り除くことで生産性を高め、その結果としてコストの削減につなげる。しかも、ムダ取りによって余計な作業量が減れば、現場の負担も軽減する。前向きな気持ちで長く続ける環境も作り出せる。

“エコロジスティクス”改革が進展

 1月号の特集では、こうしたムダ取りで成果を上げている大小50の企業事例を取り上げた。多くに共通するのは、現場が時にはゲーム感覚でムダ取りを競い合うなど、楽しみながら取り組んでいる点だ。

 「金は出すから知恵を出せ」。こう発破をかけてムダ取り活動を促しているのは合成ゴム大手、日本ゼオンの古河直純社長だ。優れた成果を上げた事例に対しては活動した従業員に2年間、毎月数千円の報奨金を手渡している。50事例の中には、このように経営トップが積極的に関与しているものも少なくない。

 一方、活動の対象分野を見ると、物流部門の改革が目立つ。店頭ではライバルとして競い合うキヤノンマーケティングジャパンとエプソン販売は2009年6月から、量販店に配送するプリンター機器の共同物流を開始した。資生堂はシャンプーなどの詰め替え製品を入れて運ぶ段ボール箱の形状や厚さを見直し、物流を効率化することで年間8400万円のコストを削減した。

 この2社は物流改革の成果を金額だけでなく、CO2排出の削減量という指標で評価していることも特徴だ。環境負荷の軽減は社員の意識や意欲を植えつけやすいテーマであるうえ、コスト削減にも結びつく。「温室効果ガス25%削減」という国の目標への関心が高まるなか、環境を切り口にした物流改革、“エコロジスティクス”改革が2010年はさらに進展しそうだ。

2010年のIT予算は一部に回復の兆し

 もっとも、コスト削減だけでは次の成長戦略は描きにくい。2010年のIT(情報技術)投資動向を探るため、本誌は2009年10~11月に有力企業のCIO(最高情報責任者)などを対象に「IT投資とIT経営推進責任者に関する調査(CIO調査)」を実施した。詳細は3月号(2010年1月29日発売)の誌面で掲載する予定だが、概要をここで紹介したい。

 まず、2010年度のIT投資の予算計画では一部に回復の兆しが見られる。2009年度のIT予算を2008年度の予算と比較すると、減少した企業が50%以上に達したのに対し、増加した企業は25%程度にとどまった。一方、2010年度の予算枠を尋ねたところ、2009年度予算に対し、調査時点では減少の見込みが34%、増加の見込みが32%とほぼ拮抗した。2010年は削減から一転、将来のために「前向きな投資」に転じる企業が出てきそうだ。

 2010年、IT関連投資のなかでは国際会計基準(IFRS)への対応が焦点の1つとなるだろう。「CIO調査」で国際会計基準対応のシステム改修について尋ねた結果、既に33%の企業が「検討を開始した」と回答した。まだ検討していない企業についても、半数近くが2011年までに検討を開始する予定だと答えている。

 2015年3月期あるいは2016年3月期とみられる日本での強制適用をにらみ、任意適用を検討する企業も、「状況次第」という条件付きを含めて40%以上に達した。

 日経情報ストラテジーでは1月号から「現場リーダーが学ぶIFRS」の連載を開始したが、今後は節目ごとにこのテーマを掲載していく考えだ。また、「企業内クラウド」を含め導入事例が増えつつあるクラウドコンピューティングについても、取り上げていきたいと考えている。もちろん、本誌の強みである現場改革や業務革新の事例もこれまで以上に深掘りし、エコロジスティクスなど時流をとらえた話題も提供していくので、ぜひ参考にしていただきたい。

経営革新にITを活かす成功事例満載の実践マネジメント誌。毎月29日発行