PR

政務三役の1人として,情報通信分野で取り組むべきことは何だと考えているのか。

 私は,野党時代に内藤副大臣のプロジェクト・チームに入り,情報通信分野を勉強した経緯がある。さらに総務委員会に所属し,放送法改正や電波利用料の見直しなどにかかわってきたこともある。

 このような経緯,あるいは政務三役の1人として,個人的には,情報通信分野で整理すべき問題が三つあると考えている。1点目はインフラとサービスの関係,次が放送の今後について,最後が著作権の問題だ。

インフラとサービスの関係とは何か。

小川 淳也 氏

 日本は,インフラでは世界一だがその上のサービスがなかなか発展しない。その理由として,よく指摘されるのがNTT問題だ。

 原口大臣は,NTTの再分割に関して否定的な姿勢を示している。むしろ国際競争力を視野に入れて総合力を求めるというスタンスだ。私も,このような大きな方向感は共有している。

 しかしインフラとサービスを一体化することが様々な可能性を生むことにつながるのか,個人的には疑問に思っている。いろんなプレーヤが市場に参加し,試行錯誤する中で次の種が生まれ成長産業になるケースもある。

 情報通信は,巨大な通信事業者が主力であるとしても,少なくとも新規参入の芽を摘まない仕組み作りに気を配りたい。大臣の方針を基本としつつ,このような問題意識を持って意志決定したい。

それは,これまでの総務省の方針と同じということか。

 大きくは変わらないだろう。ただ政権が変わったこと,さらにはリーマン・ショック以降の世界的な価値観の大転換で,何でも競争が解決するという,これまでの小泉・竹中路線が問い直されている。競争に勝った強者だけが残り,弱者は切り捨てられるのが本当に良いことなのか。これらが原口大臣が投げかけた情報通信政策の問い直しだ。

地域の活性化について聞きたい。原口大臣は「すべての人間に太陽が降り注ぐようにコミュニケーションの権利を保証することが必要」と語っている。

 原口大臣は地域も大事にしている。私が担当している地域政策の分野に,情報産業の恩恵が及ぶ範囲は広い。

 それは競争環境を刺激すれば満たされる命題なのか。もちろん市場原理そのものを否定する人はいないが,より合理的により過不足なくICT環境を全国に広げるには他の方法も考えられる。原口大臣は,ICTタスクフォースで情報通信産業の在り方を検討する際に,この当たりのバランスを探ろうとしているように見える。

2番目の放送の今後の問題とは。

 独占性と多様性のバランスをいかに取っていくのかということだ。一つのメディアが全国あまねく,特定の時間に同一の内容の番組をオンエアすることが本当に望ましいのか。個人的には危惧を抱いている。

最後の著作権の問題とは。

 いくら情報通信のインフラを整えても,著作権の問題をクリアしない限り,利用できる素材は限られる。ソフト面において著作権の問題が鍵を握る場面は多い。著作権の絡み合いを緩和していくことで,新しいビジネスチャンスや社会の進展につなげられる。皆でコンセンサスを形成していくことが重要と考えている。

総務大臣政務官 民主党衆議院議員
小川 淳也 氏
1971年生まれ。自治省(現総務省)を経て2005年の衆議院選挙で初当選。09年総務大臣政務官に就任。野党時代には総務委員会に所属し,情報通信分野の議論にかかわった。

(聞き手は,堀越 功=日経コミュニケーション編集,取材日:2009年11月2日)